ゴーン・ガール シネマの世界<第441話>
デヴィッド・フィンチャー監督の映画は、大方見ていますが、中でも私の好みの映画は、フィンチャー監督独特のサイコスリラー色調が、表われた「セブン」(1995)、「ファイト・クラブ」(1999)、「ゾディアック」(2007)、「ドラゴン・タトゥーの女」(2011)で、どの作品も色調を抑えたダークな映像(見ているだけでゾクゾクする雰囲気)を特徴としています。
フィンチャー監督は、前作「ドラゴン・タトゥーの女」でルーニー・マーラ(1985~)演じるリスベットという‘猛毒注意’のレッテルが、似合いそうな明晰頭脳の女性を登場させ、今作の「ゴーン・ガール」には、ロザムンド・パイク
フィンチャー監督は、「ゴーン・ガール」の原作者で女性推理作家ギリアン・フリン(1971~)に映画の脚本を書いてもらいました。
配役は、夫のニックをベン・アフレック(1972~)、妻のエイミーをロザムンド・パイク、エイミーを一途に愛する元恋人デジーにニール・パトリック・ハリス(1973~)、ベンの若い愛人アンディをエミリー・ラタイコウスキー(1991)、ベンの双子の妹マーゴをキャリー・クーン(1981~)、ベンの弁護士をタイラー・ペリー(1969~)が、演じています。
映画は、結婚5年目の妻エイミーが、失踪したところから始まり、見ている者は、次第にこの夫婦いったいどうなっているの?と思い始めます。
警察に通報した第一発見者の夫ニックは、刑事の取調べに妻エイミーの血液型や仲の良い友人、近所付合いなど妻の日常行動を知らない、妻の妊娠すら知らず、失踪当日や事件後に不審な行動をしていた、若い愛人の存在を隠していた‥など供述に曖昧な点やウソが目立ち始めニックが、第一容疑者になりました。
さらに、夫妻には、金銭的問題や家庭内暴力の状況証拠、妻エイミーが、銃を求めていた証言など証拠は、すべてニックに不利なものばかりでした。
美人妻の失踪事件、第一容疑者は夫、暴露された夫の若い愛人など地域住民を巻きこんだスキャンダル事件は、だんだん過熱しテレビの全国ネットに取りあげられ報道番組が、芸能ショーのようになりました。
ここから映画は、佳境に入り、兄ニックを信じる妹のマーゴ、妻の失踪事件を得意とする辣腕弁護士、エイミーの元恋人デジーを巻きこんでミステリアスな失踪事件が、一気に暗転、あっと驚く後半の展開に私は、息を凝らして見入りました。
フィンチャー監督は、イジワルだよね、夫婦の本質、結婚の実態、エゴ剥き出しの感情など次々に人間の暗部を暴きながら見ている者を胸くそ悪くさせて映画が、終わるのだから‥「ゴーン・ガール」は、サイコスリラー好きの方にお薦め作品、ぜひ映画館でご覧いただきたいと思います。