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心の時空

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プラトーン  シネマの世界<第433話>

アメリカの団塊の世代(ベビーブーマー)であるオリヴァー・ストーン監督(1946~)は、現代アメリカ国家暗黒の闇といえる政治スキャンダルやアメリカ社会の病巣(社会的な難題)を独自の視点で捉え、鋭い切り口で見る者a0212807_21552670.jpgが‘真実はきっとこうだ’と思うリアリティのある秀作映画を数多く発表しています。
その中でも1986年発表の戦争映画「プラトーン」(監督・脚本)は、オリヴァー・ストーン監督ファンの私が、ストーン監督の数ある名作のなかでも最高傑作と思う作品です。
大学を中退し志願してベトナム戦争に従軍、最前線の偵察隊に配属されたオリヴァー・ストーン監督自らの戦場体験が、映画「プラトーン」の随所に再現されています。
ベトナムとカンボジア国境地帯に広がる高温多湿の深いジャングルは、容赦なくアメリカ軍兵士たちの体力を奪い、士気を低下させ、漆黒の夜になると敵(アメリカ軍が、ベトコンと蔑視した南ベトナム民族解放戦線=北ベナム軍))の姿を隠しました。
戦場最前線の恐怖や目も当てられない悲惨な状況、さらにジャングルの湿地帯に無数に仕かけられたトラップ(ワナ)に怯えて敵と向かい合う過酷な任務など実体験したものでないと分からないリアリティと緊張感が、映画の冒頭から最後まで続きます。
a0212807_2203736.jpg私は、「プラトーン」を戦争映画の傑作と書きましたが、これまでハリウッドの戦争映画にあった一大スペクタクル英雄伝の真逆にある名も無き兵士たちのベトナム戦場での狂気・生と死・退廃・裏切りをこれでもかと暴いて見せ、アメリカ政治の腐敗・欺瞞・矛盾を痛烈に批判しています。
撮影監督ロバート・リチャードソン(1955~ アカデミー賞撮影賞を3度受賞、撮影賞候補常連)は、ベトナム戦争の戦場となった密林でのリアリティのある戦闘a0212807_221177.jpgシーンをフィリピンのルソン島で撮影しました。
ストーリーの詳細は、映画を見ていただくとしてベトナム戦争当時の状況‥アメリカ軍による無抵抗のベトナム人虐殺、民家への放火、厭戦退廃した米兵たちに広がる麻薬汚染、隊内対立による殺人、援軍の誤爆など、よくぞまあ、星条旗を背負ったアメリカ軍の内情を赤裸々に描いたものだと感心しました。
「プラトーン」に出演した俳優陣も当時まだ無名に近い若手俳優ばかりで主人公クリス・テイラー二等兵役(映画のナレーター)で出演したチャーリー・シーン(1965~)は、当時21才でした。a0212807_2232671.jpg
映画の終盤、南ベトナム民族解放戦線(北ベナム軍)の攻撃で撤退する自軍のヘリコプターに救済されず一斉射撃を受け倒れていくエリアス軍曹(ウィレム・デフォー 1955~)のスローモーション・シーンは、映画のポスターとなり「プラトーン」の象徴映像になりました。
余談ながらエリアス軍曹が、大地に膝をつき両手を突き挙げ顔を天に向かって倒れていくこの名シーンをストーン監督は、劇画家白土三平の作品「ワタリ」を参考にしたそうです。
a0212807_225127.jpg敵は、南ベトナム民族解放戦線=北ベトナム軍だけでは、ありませんでした。
最前線の小隊(プラトーン)内も分裂、エリアス軍曹と尽(ことごと)く対立する冷酷非情な鬼軍曹バーンズ(トム・ベレンジャー 1949~)の凄味もすばらしく必見の名演技です。
a0212807_2211846.jpg他にもビッグ・ハロルドと呼ばれる兵士役でフォレスト・ウィテカー(1961~ 出演時25才)、ラーナー二等兵役にジョニー・デップ(1963~ 出演時23才 下写真)と錚々たるキャスティングで、ストーン監督自身も将校役でカメオ出演しています。
音楽をフランスの作曲家ジョルジュ・ドルリュー(1925~1992 フランソワ・トリュフォー監督作品の常連音楽監督)が、担当しています。
「プラトーン」は、アカデミー賞作品賞・監督賞・編集賞・録音賞を受賞、ベルリン国際映画祭ほかでオリヴァー・ストーン監督が、監督賞を受賞しています。
a0212807_22113719.jpg何か良い映画はないだろうかとお探しの若い映画ファンの方に、ぜひともこの戦争映画の傑作にして不朽の名作「プラトーン」をご覧いただきたいと思います。
by blues_rock | 2015-01-04 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by j-machj at 2015-01-06 23:05
アメリカの作る戦争映画は、70年代までは第二次世界大戦の武勇伝のようなものが多かったですが、このブラトーンが作られたころから変わってきましたね。
ベトナム戦争の反省期に入ったということでしょうか?

面白いのは、コッポラが「地獄の黙示録」を、キューブリックが「フルメタルジャケット」をとベトナム戦争の別の観点を描いていましたね。
Commented by blues_rock at 2015-01-07 01:19
ロビン・ウイリアムズ主演の「グッドモーニング、ベトナム」も良い映画でした。
ベトナム戦争は、軍事超大国アメリカが、南ベトナム民族解放戦線(と小国北ベトナム)のゲリラ軍に敗北した戦争なのでトラウマも相当大きいのだろうと思います。