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心の時空

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灯台守の恋  シネマの世界<第426話>

フランスは、個々人の精神(エスプリ)を尊重する個人主義が、成熟しているからか、女と男の情愛を剥き出しにしたロマンス(本能的な恋愛)映画の秀作が、数多くあります。
a0212807_17432652.jpg先ごろ、パトリス・ルコント監督の恋愛映画(こちら)を紹介しましたが、フィリップ・リオレ監督(1955~)の2004年作品「灯台守の恋」もロマンス映画の秀作なのでお薦めいたします。
一昔前までブルターニュ地方のウエッサン島は、パリから遥か遠くにあり世界の果てと呼ばれた辺境の地でした。
大西洋に面したブルターニュ地方にある鄙びた島の沖合に、荒波と強風の中に立つジュマン灯台は、航海する船の安全を守る大切な灯台でした。
そのウエッサン島で生まれ成長したカミーユ(アンヌ・コンシニ 1963~ 彼女の凛とした美しさが魅力的です)ですが、大人になるとパリに出て生活していました。 (右下写真:アンヌ・コンシニ、映画の冒頭と最後に登場、知的な表情が、魅力的でした。)
a0212807_17451268.jpg映画は、カミーユが、故郷ウエッサン島の亡き両親の家を売却するため久しぶりに帰って来たところから始まります。
家を開けると多くの郵便物が、届いており、その中にアントワーヌ・カッサンディ著「私の世界の果て」という新刊本を見つけました。
本の表紙に描かれている灯台が、父親イヴォン(フィリップ・トレトン 1965~)の働いていたジュマン灯台に似ているため、年老いた伯母に著者アントワーヌ・カッサンディのことを訊ねました。
伯母の曖昧な返事とアントワーヌという人物について話題にしたくないという態度が、気になったカミーユは、本a0212807_1749125.jpgを読み始めました。
ブルターニュ地方ウエッサン島の住民は、遠い昔イギリスから渡ってきたケルト人の子孫たちで、この地の厳しい自然環境の中、住民同士助け合い固く結束して生活して来ました。
1963年、カミーユの生まれる前、灯台守(ジュマン灯台の予備員)になるため、よそ者でアルジェリア戦争に従軍し負傷した帰還兵アントワーヌ(グレゴリ・デランジェール 1971~ 寡黙で微笑みを絶やさないやさしい眼差しが好印象)という青年が、ウエッサン島にやって来ました。
a0212807_17494661.jpgアントワーヌは、よそ者の自分を追い出そうとする村人の悪意ある行為に耐えながら、ジュマン灯台のリーダー、イヴォンの下で荒海にある灯台の厳しい天候のなか昼夜違わぬ過酷な灯台守の仕事に就きました。
アントワーヌのどんな苦労も厭わない態度は、次第にイヴォン始め村人の中にも彼に好意をもつ人たちが、現われました。
イヴォンの妻マベ(サンドリーヌ・ボネール 1967~ 1989年映画「仕立て屋の恋」主演)もその一人で、アントワーヌが、時おり自分をじっと見つめる視線に気付いていました。
マベは、夫イヴォンを愛し灯台守としての健康を気づかいながら、アントワーヌの孤独な心とやさしく微笑む笑顔の中に浮かぶ翳(かげ)りのある表情に強く惹かれ恋に落ちました。
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村の夏祭りの夜、マベとアントワーヌは、堰を切ったように激しく愛し合いました。
二人の関係を知りながら無骨で寡黙なイヴォンは、妻マベを深く愛していること、自分には子供ができないことをアントワーヌに話しました。
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灯台守イヴォンを演じたフィリップ・トレトンの‘無骨で寡黙な男’役は、さしずめフランス版高倉健(1931~2014)と言ったところですが、妻マベの不貞を知りながら、彼女を深く愛するゆえ未来のない二人の激しい恋(‥マベもアントワーヌも‘どうにもならない恋’であることを知りながら自分の気持ちを抑えられない激情)を責めず怒らず
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沈黙するイヴォン役のフィリップ・トレトンの哀切な表情は、見る者の胸に迫り実に見事です。
村の若い娘ブリジット(エミリー・ドゥケンヌ 1981~ 狂言回しの役柄である若い村娘を上手く演じている)は、婚約者がいるにも関わらずよそ者の青年アントワーヌに熱を上げるので彼は、ブリジットの婚約者始め村の若者
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たちの反感を買います。
アントワーヌが、ウエッサン島に来て2か月、アントワーヌは、マベに次のジュマン灯台守勤務シフトを終えたら、ウエッサン島を去ると告げました。
a0212807_17553323.jpgアントワーヌが去り、イヴォンは、その後生まれた娘カミーユを溺愛し育て、妻マベも変わらず深く愛し続けました。
カミーユは、記念館となったジュマン灯台を訪ね、壁にかけられた父イヴォンとアントワーヌ二人が、並んだ写真を見つけ、じっと見入るのでした。
亡き両親と自分が、長い間暮らしたジュマン灯台の見えるウエッサン島の旧い家をカミーユは、売らないことにしました。
by blues_rock | 2014-12-13 07:27 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)