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心の時空

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サバイビング・モロッコ  シネマの世界<第421話>

「サバイビング・モロッコ」の原題は、「Death for Sale」‥死を売ります、というような意味で、映画も北モロッコの古い港町テトゥアン(世界遺産)を舞台にした無頼のイスラム青年(日本流に言うならチンピラ)三人による犯罪映画ですが、ベルリン、トロントなどの国際映画祭で高評価された作品です。
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映画の製作国が、ベルギー・フランス・モロッコ・ドイツ・アラブ首長国連邦というのも奇妙な組み合せです。
2011年映画で日本では‘ビデオスルー’(劇場未公開、2014年WOWOW放送)された作品ながら、北モロッコの貧困を背景に、私たち日本人には、ほとんど馴染みのないイスラム文化圏の生活それも社会の底辺にいる人びと
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の日常を描いていおり興味深い(‥イスラム世界に生まれなくて本当によかった!と思える)映画です。
監督は、フォージ・ベンサイーディ(1967~)というモロッコの(フランスかも)映画監督で、劇中、街の犯罪を取り締まる荒っぽい暴力的なモロッコ警察の警部役で出演しています。
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貧しい地域に仕事はなく無職の青年マリク(この映画の主人公 フェド・ベンシェムジ)、アラール(マリクの窃盗仲間 ムーキネ・マルジ)スフィアン(マリクの窃盗仲間 フアド・ラビエド)の三人は、街行く人からバッグを‘引ったくり’小銭を稼ぎ、タバコを買い、酒を飲み、ぐうたら遊ぶという刹那的な明日のないその日暮らしをしていました。
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映画は、冒頭マリクが、街でクラブのダンサー(売春婦)ドゥニア(イマーネ・エルメクラフィ)と知り合うところから始まり、ここにアラールとスフィアンが、現われストーリーは、急展開していきます。
モロッコは、当然イスラム教圏なのでイスラムの教義で、酒はダメ、娯楽はダメ、肉とくに豚肉は絶対ダメ、売春a0212807_18265270.jpgダメ・嗜好品ダメ‥ダメ・ダメの禁欲生活であるはずなのに犯罪映画だからだろうか、‘飲む・打つ・買う’のオンパレード‥あらゆる酒を飲み、麻薬を打ち、売春を目的としたクラブのシーンが、たくさん出て来ます。
これに麻薬売買のギャング集団、イスラム原理主義のカルト教団、モロッコ警察とコアな人物たちが次々登場、ストーリーを複雑にしながら面白くしていきます。
a0212807_1829743.jpgダンサー(売春婦)のドゥニアに恋をしたマリクは、ドゥニアを一途に口説き同棲するもクラブが、警察の手入れを受けた時、居合わせたドゥニアも逮捕されました。
マリクは、ドゥニアの釈放を依頼に警察に行くと辣腕警部デバス(役ベンサイーディ監督)から釈放する代わり‘密告者’になるよう強要されました。
マリクは、窃盗仲間のアラールが、計画した宝石店強盗を警部に密告、宝石を横取りしてドゥニアと古都マラケa0212807_18294445.pngシュ行きのバスに乗り逃げるつもりでいました。
フォージ・ベンサイーディ監督は、テンポの良い演出センスといい、俳優としての演技力といい、なかなかの才能の持ち主です。
イスラム教圏の表(タテマエ)と裏(ホンネ、社会の現実)を覗き見ながら娯楽として犯罪アクションも楽しめる映画でした。
by blues_rock | 2014-11-30 00:30 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)