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心の時空

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パトリス・ルコント監督‥‘ファム・ファタル’三部作  シネマの世界<第413話>

a0212807_1928676.jpgフランスのパトリス・ルコント監督の作品ジャンルは、多岐にわたり、その中でもルコント監督のセンス(才能)が、最も輝くのは、ロマンス映画で、それも男を虜(とりこ)にする‘運命の女(ファム・ファタル)’との官能的なロマンス映画です。
私が、勝手に名付けた‘ファム・ファタル’三部作を今夜は、紹介します。

【パトリス・ルコント】
1947年パリ生、映画監督・脚本家
1975年に長編映画デビュー、コメデイ・ドラマ・ラブロマンス・・アクションと幅広いジャンルで活躍
フランス映画セザール賞受賞の常連

その一、1989年作品「仕立て屋の恋」a0212807_1932165.jpg
中年男の仕立て屋イール(ミシェル・ブラン 1952~ 2011年映画「大臣と影の男」秘書役)は、となりのアパートに住む若い女性アリス(サンドリーヌ・ボネール 1967~ 2004年「灯台守の恋」)を自室の窓越しに一目見て恋をしました。
それ以来、夜毎(よごと)部屋の明かりを消して、窓からアリスを見つめ続ける中年男イールをカメラは、執拗に撮り続けます。
孤独でネクラな仕立て屋イールのファム・ファタルとなったアリスへの一途な恋、作曲家マイケル・ナイマン(1944~)の音楽は、イールの恋を癒すかのように静かに流れます。
恋は、盲目と言うか、アリスが、愛人とセックスしているのを窓越しに見ていながら、アリスのウソを信じ続けるイールの心が、痛々しく、煮え切らないイールを見ているこちらの方が、やり切れなくなります。
その二、1990年作品「髪結いの亭主」a0212807_19331387.jpg
性に目覚めた子供のころ、理髪店の石鹸と女主人の体臭の匂いに性の官能を覚えて以来、理髪師の女性と結婚することを夢見続けた中年男アントワーヌ(ジャン・ロシュフォール 1930~)の物語です。
アントワーヌは、ある日通りかかった理髪店のウインドウ越しに若く美しい女性理髪師の姿を見ました。
彼女こそが、アントワーヌの夢み続けた運命の女(ファム・ファタル)、女性理髪師のマチルド(アンナ・ガリエナ 1954~)でした。
彼は、迷うことなく理髪店に入り<髪を整えてもらうと親子のように年齢(とし)の差のある若いマチルドにいきなりプロポーズしました。
戸惑うマチルドにアントワーヌは、非礼を詫びて帰りました。
アントワーヌは、マチルドを遠くから見るばかりでしたが、思いきって再度理髪店に入るとマチルドは、結婚を承諾しました。
a0212807_20302385.jpgそれからアントワーヌとマチルドは、慈しみ愛し合いながら幸せな10年が、過ぎました。
ある日、マチルドは、アントワーヌと激しいセックスをした後、「ひとつだけ約束して。愛しているふりは絶対しないで。」と言い「買い物に行く。」と言い残して激しい雷雨のなか外出、豪雨で増水した流れの早い川へ身を投げました。
遺書には、「幸せの絶頂で死にたかった。」とありました。
音楽監督は、「仕立て屋の恋」に続きマイケル・ナイマンで「髪結いの亭主」では、異国(アラブ)情緒あふれる音楽が、アントワーヌとマチルドの異質の愛を醸し出していました。
その三、1994年作品「イヴォンヌの香り」a0212807_193330100.jpg
イヴォンヌを演じたサンドラ・マジャーニ(モデル出身)のフェロモンたっぷりの色気と美しいみごとな肢体を心行くまで堪能する映画です。
イヴォンヌは、自らを女優と称し彼女のコケティッシュ(小悪魔的)な魅力に翻弄される男たちのファム・ファタルでした。
なかでもロシア人の伯爵と名のる青年ヴィクトール(イポリット・ジラルド 1955~ 2004年「モディリアーニ 真実の愛」ユトリロ役)は、自由奔放にふるまうコケティッシュなヴォンヌに身も心も奪われました。
これ見よがしのポーズで男たちの視線を集め、男たちを虜(とりこ)にするイヴォンヌでしたが、男を愛することは、ありませんでした。
ポルトガル出身のエドゥアルド・セラ撮影監督(1943~ 2003年「真珠の耳飾りの少女」の撮影監督)のカメラとルコント監督の演出が、女優サンドラ・マジャーニの美しさを際立たせ、匂い立つような色気を放ち男を虜(とりこ)にするファム・ファタル、イヴォンヌを創りあげました。
by blues_rock | 2014-11-13 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)