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心の時空

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誰よりも狙われた男(後編)  シネマの世界<第407話>

ドイツの国際貿易港ハンブルクでドイツ諜報機関のテロ対策チームを率いるギュンター・バッハマンは、密入国して来たイッサ・カルポフという若者に目を付けました。
a0212807_0324367.jpgイッサ(グリゴリー・ドブリジン 1986~ ロシアの俳優、イッサ役を名演、「夏の終止符」 こちら)は、チェチェン(ロシア)出身のイスラム過激派で国際指名手配されていました。 
バッハマンは、イッサを泳がせて密入国した彼の目的とドイツ在住の国際テロ組織支援人物の正体とテロリストの資金源を突き止めようとしました。
しかし、テロ対策チームのバッハマンと対立するドイツ諜報機関の上司アクセルロット(ヘルベルト・グレーネマイ
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ヤー 1956~ ドイツのミュージシャン、この映画の音楽監督)は、CIAの介入でイッサを逮捕しようとします。
イスラム教徒でチェチェン独立過激派のイッサは、ロシア諜報機関の弾圧と拷問から逃れハンブルグにチェチェa0212807_0352417.jpgン難民として不法入国、人権団体の弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス 1978~ 「君に読む物語」こちら)を紹介されました。
イッサは、アナベルに自分の出生の秘密を話し、銀行家トミー・ブルー(ウィレム・デフォー 1955~)の銀行に忌まわしい父親が、自分に遺した口座をもっている、そんな父親の遺産は要らない、全額をドイツの慈善団体に寄付したいと伝えました。
a0212807_0355990.jpgここからドイツ諜報機関の内部対立と併せ各国諜報機関の動きが早くなり、映画は緊迫の度を増しながら佳境に入っていきます。
アナベルの手引きで姿を消したイッサを巡り、各諜報機関の会合でイッサを泳がせることで背後の動きと黒幕を追うバッハマンにCIAの女性支局長が、彼をからかうように諜報活動の目的を訊ねるとバッハマンは、シレッとした表情で皮肉たっぷり
a0212807_0364497.jpgに「世界を平和にすること」と答えます。
バッハマンは、昔レバノンでの諜報活動で‘極秘の情報ネットワーク’をつぶしたCIAに不信がありました。
ハンブルグは、アメリカ 9.11同時多発テロの実行犯たちが、潜伏し密かにアメリカでの大規模テロの準備をしていた街であることを知っていると思わずニヤリとしてしまうシーンです。
コービン監督の演出が、とにかく上手く、テロ対策責任者で昔堅気の諜報員ギュンター・バッハマンが、苛立つa0212807_0513969.jpg気持ちや不安を鎮めるためにやたらタバコを吸いますが‥フィリップ・シーモア・ホフマンにタバコを吸わせるシーンの撮り方が、非常に巧く、バッハマンのその時どきの感情や精神状態を的確に表現していました。
映画のラスト・シーン‥車を運転して家に帰るギュンター・バッハマンの横顔は、魂の抜けたような空虚な表情をしていて、彼が、車を降りたところで映画は、終わります。
フィリップ・シーモア・ホフマンは、「誰よりも狙われた男」の撮影が、終了した今年の2月、ニューヨークのa0212807_134287.jpg自宅でヘロインの過剰摂取で死亡、主人公のギュンター・バッハマンも車を降りたあと自室に戻り、精神を鎮めるためのヘロイン過剰摂取で死んだのではないかと想像させるくらいこの映画のラスト・シーンには、レアリティがあります。
エンド・クレジットで流れるトム・ウェイツ(こちら)の歌「Hoist That Rag」が、やけに心に沁み、しんみりしてしまいました。
by blues_rock | 2014-10-25 00:25 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)