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心の時空

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カニバル  シネマの世界<第403話>

カニバル(cannibal)とは、人間の肉を食する嗜好のこと、映画では「羊たちの沈黙」(こちら)のハンニバル・レクター博士の猟奇的な人肉嗜好と異常人格者として残忍な殺人シーンを思い浮かべますが、このスペイン・ルーマニア・ロシア・フランス合作映画「カニバル」には、血にまみれたおぞましい猟奇的なシーンはありません。
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あるとするならカニバルの主人公が、獲物(若い女性)を解体しているとき台のすみに設(しつら)えた血抜き用の細い溝(ミゾ)を流れる一筋の赤い血くらいです。
監督・脚本・製作は、ドキュメンタリー映画で評価の高いスペインのマヌエル・マルティン・クエンカ監督(1964
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~)、撮影をスペインの新鋭撮影監督パウ・エステベ・ビルバ(1981~ 「カニバル」でゴヤ賞の撮影賞受賞)が担い、クエンカ監督の構図・衣装・美術・照明などディテールにこだわった繊細な演出とビルバ撮影監督の静謐(しずか)なカメラワークが、「カニバル」を美しい絵のような映画(映像美)にしました。
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確かに「カニバル」は、紳士然とした連続殺人鬼の男が、若い美女ばかりを狙い仕留めると山深い人里離れた山荘で解体、その人肉を毎夜の夕食にワインを飲みながら嗜好するサイコ・スリラーのような映画の筋立てながらプロットは、人を極度に嫌い孤独を愛してきた食人殺人鬼の男が、ある獲物の美しさに心を奪われ食人のa0212807_18531057.jpg衝動と愛というこれまでなかった感情に支配され、人生を狂わせていく破滅の恋の物語(究極のロマンス)です。
2014年3月日本公開された映画「カニバル」の舞台は、スペインで、中世の面影を今に残す石造りの家並みが美しいグラナダの街です。
グラナダで指折りの紳士服仕立屋カルロス(アントニオ・デ・ラ・トレ 1968~ 2008年「チェ39歳 別れの手紙」出演)は、日々物静かに紳士服を仕立て、仕事を終えると路地を挟んだ自宅へ帰り、ワインを飲み食事をして寝るだけの生活でした。
a0212807_18582171.jpg映画の導入シーンでマヌエル・マルティン・クエンカ監督は、抜群の演出才能をいきなり見せてくれます。
獲物を追うように若い美女を付け狙い、その人肉を嗜好するカニバル‥悪魔のような連続殺人鬼カルロスの冷酷非道な素情をクエンカ監督は、映画を見ている者に冒頭のシークエンスで教え、そのあと表向き、品行方正な紳士服仕立屋カルロスの日常を淡々と描きながら、几帳面にきちんと整理された室内や彼の質素な生活を紹介します。
a0212807_1902426.jpgカルロスは、ルーマニアから来たというアパートの隣人、美しい女性アレクサンドラ(オリンピア・メリンテ 1986~)と知り合いになります。
快活なアレクサンドリアは、カルロスに興味を持ち、彼の職場(紳士服仕立店)に押しかけて、よもや食人殺人鬼とも知らず積極的に誘惑しますが、彼は、彼女の誘惑を無視して、いつものように獲物として殺し解体しました。
ある日、カルロスは、ニナというアレクサンドアに似た美しい女性が、現われました。
a0212807_191092.jpgニナ(オリンピア・メリンテの二役)は、カルロスに「突然、行方不明になった(双子の)妹を捜しいている。いままで連絡が、ないことはなかった。そのためにルーマニアからスペインに来た。」と語りました。
カルロスは、ニナもまた獲物として山荘に誘い、殺そうとしますが、カルロスは、ニナに今までなかった感情を抱くようになり動揺しました。
カルロスは、生れて始めて恋を知り、ニナを愛してしまいました。
a0212807_1914221.jpg「カニバル」(公式サイト こちら)は、1989年パトリス・ルコント監督作品「仕立て屋の恋」と映画の醸し出す雰囲気(破滅の恋の物語)が、どことなく似ています。
by blues_rock | 2014-10-13 00:13 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)