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心の時空

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a day in my life

増村保造監督のエロティシズム三部作

a0212807_1193281.jpg戦後の日本映画を代表する監督の一人、増村保造監督(1924~1986)の生誕90年ということで、東京(こちら)と大阪(こちら)では、この夏、増村保造監督の全57作品が、公開されました。
増村監督は、東京大学法学部(作家の三島由紀夫は同期生にして友人)卒業後大映(1971年倒産)に入社、東京大学文学部哲学科に復学、ローマの国立映画実験センターに留学(1952~1955)、ルキノ・ヴィスコンティ監督(1906~1976)やフェデリコ・フェリーニ監督(1920~1993)から‘イタリア・ネオリアリズモ’の薫香を受けました。
イタリア留学で学んだネオリアリズモの‘人間讃歌’は、戦前・戦中・戦後と日本の激動する社会変革を体験した増村監督は、自我をもった強烈な個性、とくに自己主張する新しい女性像を生み出しました。
a0212807_1235886.jpg増村監督の映画に登場する主人公の女も男も性愛(エロティシズム)や暴力という人間の根源的な欲望に素直で行動的です。
私の好きな増村監督作品を敢えて挙げるなら1964年「卍(まんじ)」、1966年「刺青(いれずみ)」、1967年「痴人の愛」、この3作品で表現された情痴あふれるダイナミックな演出と耽美な女性崇拝を思わせるフェティシズム(Fetishism 性的倒錯)は、日本映画にあって稀有な輝きを放っています。
この3作品に共通するのは、いずれも原作が、谷崎潤一郎(1886~1965)の小説であることです。
「卍(まんじ)」は、脚本を新藤兼人監督(こちら)、撮影を増村監督の常連小林節雄が担い、主演女優は、若尾文子(1933~ 出演時31才)と岸田今日子(1930~ 出演時34才)でした。
女優として円熟した女盛りの若尾文子と岸田今日子が、同性愛(レスビアン)の女性を官能的に熱演し、実に艶めかしく美しい映画でした。
a0212807_1244274.jpg「刺青(いれずみ)」も新藤兼人監督の脚本で、撮影が名撮影監督の宮川一夫(こちら)、主演を若尾文子とくれば、刺青フェチ、耽美の世界です。
若尾文子が、背中の白い肌一面に彫られた女郎蜘蛛の刺青を男共に気風(きっぷ)よく見せ、手玉にとる妖艶な姿を撮影監督の宮川一夫は、浮世絵のような見事な映像で撮っています。
若尾文子の艶姿(あですがた)を堪能していると映画のストーリーなんてどうでも良くなります。
「痴人の愛」の脚本は、名脚本家にして小説家の池田一朗(ペンネーム 隆 慶一郎)、撮影を「卍(まんじ)」に続き小林節雄が、担っています。
安田道代(1946~ 出演時21才 現大楠道代)の天真爛漫でサディステックな小悪魔ナオミが、必見の映画です。
ナオミに振り回されるマゾの中年男を怪優小沢昭一(1929~2012)が熱演、またナオミに弄ばれながらも彼女に一途な恋をする学生役で田村正和(1943~ 出演当時24才、まだ妙なクセがなく普通です)が、出演しています。
増村保造監督の作品は、時間をかけ、ゆっくり見たいと思っています。
by blues_rock | 2014-10-11 01:15 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)