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心の時空

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スモーク  シネマの世界<第397話>

ニューヨーク、ブルックリンの街角でタバコ屋を営む男オーギー・レン(ハーヴェイ・カイテル1939~ ポスター写真右)と常連客の作家ポール・ベンジャミン(ウィリアム・ハート 1950~ ポスター写真左)を中心に、その‘タバコa0212807_23124273.jpg屋’(映画タイトル「スモーク」の由来です)に出入りする人たちの人間模様を描いています。
映画が、どことなくヨーロッパ映画のペーソスを感じさせるのは、製作がハリウッドではないからでしょう。
1995年映画「スモーク」は、アメリカ・日本・ドイツの合作で、監督が、香港の映画監督ウェイン・ワン(1949~)、原作である「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」は、アメリカの作家ポール・オースター(1947~)の作品で、映画化のために自ら脚本を書きました。
「スモーク」の製作に関わった国境なき映画人たちの感性が、ニューヨーク下町の小さなタバコ屋をパリの空の下にある‘ボン・コワン’(しゃれた町角)のカフェのような雰囲気にしているのかもしれません。
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写真は、左から原作者で脚本のポール・オースター、主演のハーヴェイ・カイテル、ウェイン・ワン監督です。
映画のラスト、クライマックスに流れるトム・ウェイツ(こちら)の歌う「Innocent When You Dream」の音楽に併せ
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て映されるモノクローム映像は、「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」を物語るシーンで必見です。
映画「スモーク」は、ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞しています。
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オーギー・レンのタバコ屋で雑誌を万引きして逃げた黒人青年トーマス・コール(ハロルド・ペリノー 1968~)は、車道の端を歩いていて車に轢かれそうになった作家のポール・ベンジャミンを助けたことで親しくなりますが、a0212807_2339172.jpgトーマスは、ポールにラシードという偽名を名のりました。
ポールは、ホームレスのトーマス(ラシード)を不憫に思い、自分のアパートに泊めました。
トーマスは、幼いころ生き別れた父親のサイラス・コール(フォレスト・ウィテカー 1961~)を捜すため、生活費稼ぎの盗みを働きながらラシードと名のり各地を転々としていました。
オーギーのタバコ屋を訪ねる男たちと女たちの現在と過去を虚実織り交ぜながら「スモーク」のストーリーは、a0212807_2347579.jpg展開していきます。
ポールは、銀行強盗の流れ弾で命を落とした妻が、忘れられず、その事件以来、作家として書く意欲を失くしていました。
オーギーが、14年間、毎朝同じ時刻、タバコ屋前の同じ場所で撮り続けた写真4千枚の中に亡くなる前の妻を見つけたポールは、驚くとともに涙して感激しました。
オーギーは、友人ポールに作家として再起してもらうために、自分が、毎朝、同時刻、同じ場所から写真を撮りa0212807_23473434.png続ける理由や映画のラストシーンとなる「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」を話しました。
映画「スモーク」は、ニューヨーク、ブルックリンの片隅で、互いに決して親切を押しつけず、そっと助け合って生きている人たちの真にやさしい姿を情感豊かに描いた作品です。
by blues_rock | 2014-09-28 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)