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心の時空

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「ミレニアム」三部作  シネマの世界<第395話>

スウェーデンで反人種差別・反ファシズムのジャーナリストであったスティーグ・ラーソン(1954~2004病没、享年50才、右下写真)の処女作にして絶筆となった推理小説「ミレニアム」三部作(シリーズ各上・下、全6冊)は、彼の死後2005年~2007年に発表されるや一躍世界的なベストセラーになりました。
「ミレニアム」三部作  シネマの世界<第395話>_a0212807_2351036.jpgスティーグ・ラーソンは、「ミレニアム」三部作(シリーズ各上・下、全6冊)だけで後世に名を残す世界的な推理小説作家になりました。
この「ミレニアム」三部作を原作としたスウェーデン映画「ミレニアム」シリーズは、2009年に公開され第1部「ドラゴン・タトゥーの女」、第2部「火と戯れる女」、第3部「眠れる女と狂卓の騎士」からなり全部で 7時間44分にもおよぶ超長尺の‥とにかくサイコでサスペンスたっぷり、最初から最後までハラハラドキドキしっぱなしの第一級ミステリー映画です。
私は、第1部「ドラゴン・タトゥーの女」(ニールス・アルデン・オプレヴ監督)、第2部「火と戯れる女」(ダニエル・アルフレッドソン監督、第3部も同監督)を一日で、翌日第3部「眠れる女と狂卓の騎士」を一気に見ました。
私の感想は、「とにかくおもしろくスゴイ映画」の一言です。
「ミレニアム」三部作  シネマの世界<第395話>_a0212807_23532150.jpg第1部の「ドラゴン・タトゥーの女」は、2012年ハリウッドでリメイクされ、こちらも好評でした。
「ミレニアム」三部作の主人公‘リスベット・サランデル’は、子供のころ不幸な家庭環境で育ち、少女期に受けたさまざまな虐待で心(精神)に深い傷を負いました。
成人しても卑劣な後見人から監視され性的虐待を受けていました。
リスベットの背中に彫られたドラゴンの刺青(いれずみ)とパンクなファッションが、彼女の内面を顕わすとおり、「ミレニアム」三部作  シネマの世界<第395話>_a0212807_23554152.jpg彼女は、普通の社会環境に適応できず他者との共感もありませんでした。
自分を拘束し虐待しようとする者には、攻撃心が強くその反撃(執拗な復讐)に容赦はありませんでした。
無表情なリスベットは、自閉的に見えるものの非常に頭が良く、映像記憶力が抜群でインターネットの仲間内では、ハンドル・ネーム‘スズメバチ’の名で知られた天才ハッカーでした。
この主人公リスベットを「ミレニアム」シリーズでは、スウェーデンの女優ノオミ・ラパス(1979~ 上・左下写真)が「ミレニアム」三部作  シネマの世界<第395話>_a0212807_23572918.jpg体当たりの演技をしています。
ハリウッド版「ドラゴン・タトゥーの女」のリスベット役ルーニー・マーラ(1985~ 下写真の左)とノオミ・ラパスのリスベット像を比較して見てみるのも一興と思います。
第1部「ドラゴン・タトゥーの女」は、現代スウェーデンを舞台に巨大企業の違法な国際取引(不法武器取引・マネーロンダリング)疑惑に挑(いど)むジャーナリスト(ルポタージュ雑誌「ミレニアム」の記者)を主人公に社会派サスペンスで始まりますが、すぐスウェーデンの名門富豪一族の孫娘失踪事件と、それに絡む連続猟奇殺人事件の「ミレニアム」三部作  シネマの世界<第395話>_a0212807_23583035.jpgナゾ解きという古典的なミステリーに変調しこの二つの事件が、次第に絡んでいきます。
映画は、永世中立国で、人権重視の民主主義福祉国家スウェーデンの知られざる暗部を曝(さら)しながら、スウェーデン社会の裏に巣食う諸悪の多重構造を雑誌ミレニアムの記者と共にリスベットが暴(あば)いていきます。
第2部「火と戯れる女」では、第1部で明らかにされなかったドラゴン・タトゥーの女リスベット・サランデルにまつわる出生の秘密とミステリアスな過去が語られ、同時に過去のスウェーデン国家機密を巡るスキャンダルが、次第に暴かれていきます。
「ミレニアム」三部作  シネマの世界<第395話>_a0212807_23584054.jpgさらに、第3部の「眠れる女と狂卓の騎士」では、スウェーデン国家中枢にあった闇の秘密結社による陰謀が、ミレニアム編集部の調査で次第に明らかとなり、リスベットの存在は、首相さえも知らないスウェーデンの暗い過去(国家転覆の機密)に深く関わっていた事実が、判明しました。
映画「ミレニアム」シリーズは、第1部から複雑にからむ事件の一つ一つをリアルに描き、それを精緻に組み合せた極上のサスペンス・ミステリー映画で‘この秋の夜長に見る何かおもしろい映画はないかな’とお探しの方にお薦めしたい映画です。
by blues_rock | 2014-09-04 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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