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街のあかり  シネマの世界<第378話>

a0212807_19331634.jpg「街のあかり」は、フィンランド映画の異才アキ・カウリスマキ監督が、一人で監督・脚本・製作・編集を担い、‘敗者三部作’最終章の作品として2006年に発表されました。
これに先立つ1996年作品「浮き雲」(こちら カティ・オウティネン主演)では、人間賛歌の物語を、2002年作品「過去のない男」(こちら カティ・オウティネン主演)で人間再生の物語を撮りました。
「街のあかり」は、敗者三部作の中では、一番身を切られるように切なく、哀しい魂救済の物語です。
a0212807_19335876.jpgうらぶれ侘(わ)びしい孤独な中年男が、一目惚れした女に騙され、犯罪に利用され裏切られてもなお女を慕うその姿の歯がゆさ情けなさは、映画を見ていてイライラします。
映画のラスト、うらぶれた男が、すべてを失ったとき、初めて自分を照らしていた「街のあかり」に気付き、ここで映画を見ていた者は、やっと救われた気持ちになりますが、これこそアキ・カウリスマキ監督の‘狙い’でしょう。
カティ・オウティネンは、スーパーのレジ係役でワンカットだけチラッと出演していますが、アキ・カウリスマキ監督a0212807_19365688.jpgの映画には、欠かせない女優です。
この映画もアキ・カウリスマキ監督の盟友ティモ・サルミネン(こちら)が、撮影監督を担っています。
フィンランドの首都ヘルシンキに、夜間警備の仕事をするコイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)という一人暮らしの孤独な男がいました。
彼は、夜勤が終わると海辺でソーセージ屋を営むアイラ(マリア・ヘイスカネン)の店に立ち寄り、一言二言話をして自宅に帰る毎日でしたが、その店のあかりは、彼の眼には入りませんでした。
a0212807_19372587.jpgコイスティネンの夜間警備巡回コースに宝石店があり、これに目を付けたマフィアのボスは、自分の情婦ミルヤ(マリア・ヤルヴェンヘルミ)に、天涯孤独な男コイスティネンから宝石店のカギを奪い、さらにロック解除コードを調べるよう命じました。
コイスティネンは、疑うこともなく美しく妖しげなミルヤの魅力の前に恋の虜になりました。
極悪なマフィアのボスは、「犬のように忠実でバカな女々しい男だから騙すのは簡単だ」とうそぶき彼から奪ったa0212807_1938144.jpg宝石店のカギとロック解除コードを利用し宝石を強奪しました。
さらにボスは、真っ先に夜間警備員のコイスティネンに犯行疑惑が及ぶことを承知しており、警察の捜査が始まる前にミルヤをコイスティネンの部屋に行かせソファの下に奪った宝石の一部を隠すよう指示、宝石窃盗の罪をすべて彼に擦(なす)りつけました。
生まれて初めて恋したコイスティネンは、ミルヤを信じ愛したがゆえに、次々に彼を襲う受難のすべてをa0212807_1939263.jpg黙って受け入れ、刑務所に服役、出所後もマフィアのボスに彼の社会復帰が妨害されました。
それを彼が信じ愛したミルヤは、そばでただ黙って見ていました。
映画のラスト・シークエンスでホームレスとなり暴行を受けて倒れたコイスティネンを救うのは、彼がやさしく接したストリート・チルドレンの黒人少年と虐待されていたところを救った犬、そして密かにいつも彼を見守ってきたソーセージ屋のアイラでした。(上写真:この映画エンディングのシーンでやっと心が癒されます。)
a0212807_20573586.jpgアキ・カウリスマキ監督は、「街のあかり」では、いつになく強者と弱者、勝者と敗者、悪人と善人を明確にして描いていますが、登場人物の表情とセリフは、いつものように‘無表情’で‘寡黙’でした。
(付録)アキ・カウリスマキ監督の映画には、いつも‘犬’が、登場します。
アキ・カウリスマキ監督の愛情(演出)が犬に伝わるのか、映画に登場する犬は、どの映画も普通の犬ながら存在感たるや抜群です。
上の写真は、「過去のない男」に出演した犬タハティ(映画での名前ハンニバル)、カンヌ国際映画祭で「パルムドッグ賞」を受賞しました。
by blues_rock | 2014-08-03 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)