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心の時空

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愛しのタチアナ  シネマの世界<第374話>

私の好きな映画監督、フィンランドの異才アキ・カウリスマキ監督作品を遡りながら紹介しています。
1995年作品「愛しのタチアナ」(モノクロ映像)は、この後続くアキ・カウリスマキ監督作品の基本形となる脚本・監督・製作・編集を自ら担い、撮影をティモ・サルミネン、録音をヨウコ・ルッメ、セット・デザインをカリ・ライネ、a0212807_21272288.png
マルック・ペティレ、ユッカ・サルミ、衣装をトゥーラ・ヒルカモなどアキ・カウリスマキ組のスタッフが、固めています。
出演する俳優もマッティ・ペロンパー(1951~1995心不全で死去、享年44才「愛しのタチアナ」が、彼の遺作となりました)、カティ・オウティネン(1961~)、マト・ヴァルトネン(1955~)とワクワクする顔ぶれで名優ぞろいです。
アキ・カウリスマキ監督は、1960年代のフィンランドを舞台に寓話のようなストーリーで展開し、どこかシュール・レアリズムっぽい感じで撮っています。
a0212807_2131560.pngアキ・カウリスマキ映画思想の原点である「社会底辺で暮らす人びとをユーモアとペーソスで包みながらやさしく見つめる視点」は、「愛しのタチアナ」でも良く表現されています。
40才を過ぎても母親に頭が上がらない仕立屋のヴァルト(マト・ヴァルトネン)は、毎日ミシンを踏みながら、母親の小言に耐えて真面目に働いていました。
コーヒーを浴びるように飲むことでストレスを抑えていたヴァルトは、ある日母親が、コーヒーを切らしたことでついに堪忍袋の緒が切れました。
a0212807_21445874.pngいきなり母親を物置に閉じ込めると、母親の財布から金を盗んで家を飛び出した彼は、修理に出していた愛車を引き取りに友人の修理 工レイノ(マッティ・ペロンパー)を訪ねました。
同じく40才を越えたレイノは、革ジャンにポマードで固めたリーゼント・ヘアのロックンローラーを気取り、田舎町の退屈な日常にうんざりしていた2人は、発作的にどこに行くともない旅に出ました。
その旅の途中、出遭った細身のエストニア人女性タチアナ(カティ・オウティネン)と小太りのロシア人女性クラウa0212807_2149972.pngディア(キルシ・テュッキュライネン)から頼まれ、二人を港まで車で送ることになりました。
車中のヴァルトは、コーヒーをひたすら飲み続け、レイノも黙ってウォッカをガブ飲みするだけで、せっかくの女性二人連れと一緒なのに全然コミュニケーションできませんでした。
途中夜も更け飛び込んだ安宿でタチアナはレイノとクラウディアはヴァルトと同じ部屋で寝ることになりますが、シャイで気の利かない二人の男たちは、さっさと先に寝てしまいました。
a0212807_21494463.pngそれでもレイノとヴァルトの二人は、二人の女性と別れ難く、エストニアに向かう同じ船に乗り込みました。
エストニアに着くまでの短い渡航時間にレイノとタチアナ二人の気持ちが、どちらともなく高まりました。
エストニアの駅でロシアに帰るクラウディアを見送った三人は、タチアナの家に向かいました。
車が、タチアナの家に到着するとレイノは、いきなり「ここに残る」とヴァルトに言いました。
レイノとタチアナと別れたヴァルトは、一人フィンランドに帰りますが、途中「4人を乗せた車がコーヒー・ショップにa0212807_21501085.png突っ込む」というシュールな幻覚に襲われました。
それは、四人で過ごした楽しかった時間へのヴァルトの未練だったのか‥家に戻ったヴァルトは、物置にいる母親を出すと、家出する以前(映画冒頭のシーン)のように無言でミシンを踏み始めました。
by blues_rock | 2014-07-23 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)