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心の時空

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a day in my life

罪の手ざわり(後編)  シネマの世界<第373話>

a0212807_21261710.jpg二番目の主人公は、山西省の炭鉱夫ダーハイ(チアン・ウー 1967~)です。
村の所有する鉱山で黙々と14年の間働きながら、契約した村民への恩恵はなく、ワイロ太りの村長と彼に癒着し鉱山利権を独占、巨万の富を一人占めした幼なじみの鉱山社長に、村民に約束した利益分を配分するよう愚直に迫るダーハイは、公衆の面前で侮辱され暴力を受けました。
それまで我慢に我慢を重ねてきたダーハイの怒りはついに爆発、自宅から散弾銃を取り出し村長と社長の自宅a0212807_21265064.jpgへ向かいました。
途中ダーハイは、痩せた馬が、重い荷を引き動けずに喘いでいる姿を見て、その馬に容赦なくムチ打つ男に近づき無言で射殺、その足で村長と社長の二人も射殺しました。
三番目の主人公は、湖北省の女シャオユー(チャオ・タオ 1977~)で妻子ある男の煮え切らない態度に悩みながら自分から別れることもできず風俗サウナの受付で働いていました。
ある夜シャオユーが、控室で洗濯していると札束で彼女の顔を殴りながら性行為をしつこく迫る下品な客に堪忍a0212807_2132579.jpg袋の緒が切れて、果物ナイフでその男を刺し殺しました。
四番目の主人公は、自分の生き甲斐を求めて職を転々とする広東省の若者シャオホイ(ルオ・ランシャン1994~)です。
彼は、風俗ナイトクラブのボーイで若いダンサーと恋仲になり、彼女の仕事である中年客への性的サービス行為に我慢できないシャオホイは、彼女に一緒にどこかに行こうプロポースしますが、独身と思っていた彼女には、すでに3才の子供がいて「私は一緒に行けない」と告げられました。
a0212807_2132361.jpg傷心したシャオホイは、以前働いていた会社に戻りますが、少ない給料から生活費を切り詰め、田舎の家族に仕送りしているにも関わらず電話の向こうから聞こえる母親の声は、さらなる送金の督促でした。
希望のない人生に閉塞感を抱き、心神喪失した彼は、世を儚(はか)み、自分の心を解き放つため、ビル屋上から飛び降り自殺しました。
映画のカメラは、ジャンクー監督の出身地である中国北部の山西省から南西部の揚子江沿いにある大都市重慶へ、さらに中央部の湖北省を経て南部海岸沿いの広東省東莞(トウカン)へと移動していきながら国家構造の理不尽に喘ぐ中国国民の現実をリアルに映していました。
by blues_rock | 2014-07-19 00:19 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)