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心の時空

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罪の手ざわり(前編)  シネマの世界<第373話>

中国映画の鬼才ジャ・ジャンクー(1970~)の最新作「罪の手ざわり」は、共産党独裁国家中国が、権力主導の近代化を進める中で、実際に起きた4つの事件をもとに、その事件の当事者たち‥普通の庶民である男女4人の主人公たちが、どうして罪に触れたのか、事件の場所を変えながら中国の社会問題と併せ、映画に娯楽性を
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もたせながら4つの物語を群像劇としてリアルに描きました。
映画は、中国の原風景を背景にした詩情豊かな映像でジャンクー監督の徹底したリアリズム演出の中に、時おり見せる寓話的なシーンが、非常に印象に残ります。
a0212807_2173066.jpg憤怒に身を焼いた男が、虎のごとく咆哮し豹変するシーン、侮辱された女が、屈辱で蛇のごとく身をくねらせ変身するシーン、重い荷を牽いた馬がムチ打たれ倒れるシーン、繋がれた牛が沈黙して人間を見つめるシーンなどに表現力と構成の上手さを感じました。
「罪の手ざわり」は、カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞、上映会場に駆けつけた名優トニー・レオンは、スタンディングオベイションに加わり「罪の手ざわり」を絶賛しました。
a0212807_212057100.jpgジャンクー監督は、地域格差、貧富の差の拡大、官僚と癒着した特権階層のワイロによる不正、環境の悪化など中国の社会構造の理不尽な歪みのもと、底辺で暮らす人びとの憂鬱と暴力をリアルに描いています。
映画は、冒頭からいきなりセンセーショナルに始まります。
中国を揺るがした4つの社会的事件を題材にしているだけに中国国内での一般公開は、まだ国から許可が下りていないものの、不思議なのは、政府当局に公開申請に行った同日夜、ネット上に未公開新作映画「罪の手ざa0212807_21243922.jpgわり」が、無料ダウンロードできる状態で流失していたことです。
中国にとって都合の悪い真実は、異常なくらい情報管理しインターネットを統制している中国共産党政府らしからぬ現象に明らかな興行収入妨害の意図を感じます。
さて、最初の主人公は、重慶から家族への仕送りを続ける若い父親チョウ(ワン・バオチャン1984~)で彼は、妻子に出稼ぎと偽り、各地で強盗殺人を繰り返しながら金を稼いでいました。
映画の冒頭、ワン・バオチャンの素朴で虚無的な暴力が、度肝を抜きます。(後編に続く)
by blues_rock | 2014-07-18 00:18 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)