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心の時空

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ブエノスアイレス  シネマの世界<第363話>

a0212807_122477.jpg映画「ブエノスアイレス」(原題 「Happy Together」1997年 )は、アルゼンチンを舞台にした香港映画で香港の映画監督ウォン・カーウァイ(1958~) が、一人で監督・脚本・製作しています。
この映画でウォン・カーウァイ監督は、カンヌ映画祭で監督賞を受賞しました。
カーウァイ監督の演出手法は、脚本を俳優に渡さず撮影する前にメモで指示、俳優に即興の演技をさせて撮るのが、特徴です。
撮影監督のクリストファー・ドイル(1952~)は、手持ちのズームカメラを使用して撮影、スローモーション映像や手持ちカメラによる躍動感あふれる映像(2010年「海洋天堂」こちら)に特長があります。
美術・編集担当のウィリアム・チョン(1953~)は、耽美的で斬新な映像を創造するアートディレクターで「ブエノスa0212807_1212292.jpgアイレス」に彼の映像構成センスが、良く表われています。
男同士の愛(ゲイ)が、主題の映画なのでカーウァイ監督から出演の依頼を受けたトニー・レオン(1962~)は、最初「同性愛者役はできない」と断ったそうです。
同じく主演のゲイ役、レスリー・チャン(1956~2003没 自死)のトニー・レオンと絡むラブ・シーンは、迫力満点で、映画を見ていて恥ずかしくなるくらいa0212807_12132651.jpgの熱演でした。
ファイ(トニー・レオン)とウィン(レスリー・チャン)は、お互い惹かれ合いながら相手を傷つけることしかできない恋人(ゲイ)でした。
ウィンは、ファイに何度も‘やり直そう’と迫り、そのたびにファイは、ウィンを突き放しますが、ファイもまたウィンと別れることはできませんでした。
二人は、‘やり直す’ためにアルゼンチンに向かいました。
a0212807_12144141.jpgブエノスアイレスで仕事を得て暮らし始めますが、二人の諍いは、絶えませんでした。
カーウァイ監督は、男と男(ゲイ)の刹那的な愛を観察するような視点で見つめファイとウィン二人に密着した撮影カメラが、二人の感情のデリケートな動きを見事に映していました。
a0212807_1215756.jpg夜のブエノスアイレスを背景にして流れるピアソラの哀愁あるタンゴのメロディが、男と男(ゲイ)の行き場のない刹那の愛をさらに切なく奏でます。
映画のラスト、香港に戻ったファイと香港の街をバックに「Happy Together」(1967年 タートルズ)が、流れて映画は、終わります。
ゲイならずとも愛する相手に自分の愛が伝わらない‘愛の切なさ’をリアルに表現した秀作映画でした。
by blues_rock | 2014-06-23 00:23 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)