ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

普通の人々  シネマの世界<第361話>

アメリカの俳優ロバート・レッドフォード(1936~)が、1980年映画監督デビューした初監督作品「普通の人々」は、いきなりアカデミー賞作品賞、監督賞、助演男優賞(ティモシー・ハットン)、脚色賞(アルヴィン・サージェント)の4部門で受賞しました。
映画のプロットは、息子(長男)を亡くした夫婦と兄を亡くした弟(次男)三人家族の喪失感を描き、残された家族a0212807_2305623.jpgにわだかまる三者三様の心理劇として映画は、展開していきます。
シカゴ郊外で暮らす弁護士のカルヴィン(ドナルド・サザーランド 1935~)とベス(メアリー・タイラー・ムーア 1936~)夫婦は、結婚して21年、二人の息子に恵まれて傍目には仲睦ましい夫婦でした。
ある日、湖でセーリングしていた長男バックと弟コンラッド(ティモシー・ハットン 1960~)兄弟のヨットが、嵐で転覆事故に遭い、長男のバックは、溺死しました。
母ベスにとって溺愛していた長男バックの死は耐えがたく九死に一生を得て助かった次男コンラッドに冷たい態度でよそよそしく接しました。
弟コンラッドは、兄を救えなかった自責の念で苦悩、自殺未遂をおこし精神病院に入院しました。
17才のコンラッドは、4か月後ハイスクールに戻り、聖歌隊のメンバーになりましたが、罪の意識から解放させず遭難時の悪夢を見てはうなされる後遺症に苦しみ精神分析医に通っていました。
a0212807_243251.jpgコンラッドは、精神病院で一緒だった患者のカレンと街で久しぶりに会い、彼女の元気そうな姿に安心しました。
コンラッドもハイスクールの聖歌隊で仲良くなったジーニン(エリザベス・マクガヴァン 1961~)に魅かれ少しずつ明るくなりました。
クリスマス休暇となり街で偶然遭ったカレンにお祝いの電話を入れると彼女の家族からカレンの自殺を知らされたコンラッドは、パニックとなり自己喪失、嫌っていた精神分析医のもとへ駆け込み助けを求めました。
精神分析医から「兄の事故死は、君の責任ではない。自分を責めてはいけない。」と諭され心の落ち着きを取りa0212807_2475052.jpg戻したコンラッドは、その足でジーニンを訪ね‘手首の傷痕’(自殺未遂)のことを話しました。
ある晩、コンラッドは、リビングの母に自分から近づき初めて母ベスにキスをしました。
ベスは、息子コンラッドの態度に驚きながらハグするわけでもなくぎこちない姿勢でじっとしていました。   (上写真2枚:ティモシー・ハットンに演技指導するロバート・レッドフォード監督)
その一部始終を見ていた父カルヴィンは、その夜寝室を抜け出し部屋の片隅で一人泣いていました。
カルヴィンが、居ないことに気付いたベスは、暗い部屋の隅で泣く気丈で冷静な夫の姿に当惑しました。
カルヴィンは、妻のベスにこれまで自分を抑えて言わなかった本心を伝えました。
a0212807_253136.jpgベスは、早朝家族に何も告げず、荷物をもって黙って家を出て行きました。
息子コンラッドは、憔悴し無言で庭に佇む父カルヴィンを見て静かに父を抱きました。
長編映画初出演で次男コンラッドを演じアカデミー賞助演男優賞を受賞したティモシー・ハットンは、心やさしく内向的な若者の心理を上手く表現しています。(上写真:メアリー・タイラー・ムーア と打ち合せるレッドフォード監督)
映画初監督ながらロバート・レッドフォード監督の演出センスが、光る秀作映画です。
by blues_rock | 2014-06-21 01:30 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)