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心の時空

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遥かなる勝利へ  シネマの世界<第360話>

ロシア映画の巨匠ニキータ・ミハルコフ監督(1945~)が、自ら脚本を書き主演、監督した2011年作品「遥かなる勝利へ」は、1994年作品「太陽に灼かれて」(ニキータ・ミハルコフ監督の製作・脚本・主演・監督 こちら)、2010
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年作品「戦火のナージャ」(ニキータ・ミハルコフ監督、共同脚本・主演・監督)から続く現代ロシア史(ソ連共産主義体制時代の暗黒の歴史)を描いた三部作の戦争叙事詩です。
a0212807_2236321.jpgその戦争三部作のリアリティ溢れる映像叙事詩は、人間の愚劣極まりない悲劇、一方で自らの命を迷うことなく捨て、最愛の者を救う崇高な愛という二律背反する人間の普遍をドラマチックに表現しています。
ロシア革命の英雄コトフ大佐(ニキータ・ミハルコフ)、その娘ナージャ(ナージャ・ミハルコフ 1986~ ニキータ・ミハルコフの実娘)、自分の恋人であったマルーシャが、コトフa0212807_22375543.jpg大佐の妻となり娘ナージャを生したことでコトフ大佐に付きまとい反スターリンの政治犯として強制収容所へ投獄するソ連国家秘密警察の将校ドミートリ(オレグ・メンシコフ 1960~)の三人が、三部作の中心人物です。
三部作最後の「遥かなる勝利へ」は、1943年、かってロシア革命の英雄であったコトフ大佐が、ソ連軍‘懲罰部隊(政治犯や犯罪者で編成された使いa0212807_22384399.jpg捨ての戦闘部隊)’ の一兵士としてナチスドイツ軍との激戦地にいました。
コトフ大佐は、ソ連共産党書記長スターリンによる大粛清の犠牲者でした。
そのころナージャは、最愛の父コトフ大佐の死の通知にそれを信じず、自ら最前線の従軍看護婦に志願、ドイツ軍との戦地に赴きました。
a0212807_22412137.jpgある日、難攻不落のドイツ軍要塞を取り囲む懲罰部隊に、酒(ウォッカ)を飲んでベロンベロンに酩酊(メイテイ)している督戦隊(殺戮への恐怖心で逃げる味方兵士を銃殺する部隊)の指揮官が、何を思ったか、突然丘のドイツ軍要塞を攻撃せよ、正面突破して要塞を陥落させよ、と犬死に同然の無謀な(ムチャクチャな)命令をしました。
ミハルコフ監督は、ソ連が国家崩壊する以前、スターリン独裁下、共産主義社会の陰湿で悲惨な現実を正面かa0212807_22432286.jpgら見すえリアルに描いています。
共産主義思想の名目で権力者の私利私欲のため、目障りなものはすべて、国家秘密警察(KGB)が難クセをつけ(罪をデッチあげ)政治犯(反共産主義の思想犯)として逮捕、強制収容所へ送り(現在の中国・北朝鮮)、使い捨ての懲罰部隊を編成、最激戦地の前線へ派兵するということをソ連共産主義国家は、平然と行ないました。
a0212807_22444797.jpg無謀な突撃命令に怖じ気づき、逃げ帰る味方の兵士たちを後方の督戦隊(銃殺部隊)が、次々に銃撃射殺していくシーンは、神も仏もない悪魔の仕業を思います。
スターリンの命令を受けたドミートリは、前線にいるコトフ大佐を捜し出しスターリンの元へ連れて行きます。        (下写真:この三部作は、女優ナージャ・ミハルコフの成長の記録としても貴重です。)
a0212807_22451885.jpgスターリンは、コトフを中将に昇級させ、前線の懲罰部隊を率いて難攻不落のドイツ要塞を陥落せよと命じました。
中将となったコトフは、ソ連陸軍の正装をして前線に赴きました。
ここから娘ナージャと父コトフが再会するラストまでのシークエンスは、ぜひ映画をご覧いただきニキータ・ミハルコフ監督の切なくも深い愛を感じて欲しいと思います。
by blues_rock | 2014-06-18 00:18 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)