ブロークンシティ シネマの世界<第361話>
悪役ながらもう一人の主役ニューヨーク市長役にラッセル・クロウ(1964~)、市長と不仲の市長夫人役をキャサリン・ゼタ=ジョーンズ(1969~)、私立探偵を利用しながら市長と政治的駆け引きをする警部コリンにジェフリー・ライト(1965~)、私立探偵助手ケイティにアロナ・タル(1983~ イスラエルの女優)など豪華なキャスティングが映画を面白くしています。
映画のプロットは、次期ニューヨーク市長選挙を舞台に繰り広げられる陰謀つまりニューヨーク・ダウンタウン再開発にともなう巨大利権に絡んだ陰湿にして陰険なクライム・サスペンスです。
映画は、7年前警察官であった私立探偵ビリー(マーク・ウォールバーグ)は、少女レイプの犯人である黒人青年を射殺するという事件を起こしました。
当時のニューヨーク市長ホステラー(ラッセル・クロウ)は、白人警官ビリーが、少女レイプ犯とはいえ黒人青年を射殺したことで大騒ぎするマスコミ対策として事件の訴追をしない条件でビリーを辞職させました。
7年が経ち一週間後の市長選挙を前にニューヨークの街は、選挙一色で沸いていました。
ビリーは、突然市長のホステラーから呼び出され、妻(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)の浮気調査を依頼されました。
ホステラー市長は、妻から自分の周辺情報が流出していることを疑っていました。
ビリーが、密かに妻の浮気相手を探ると対立候補の選挙参謀でした。
その調査を終えると選挙参謀は、路上で何者かに射殺され愕然としました。
ビリーをさらに利用しようとするホステラー市長は、7年前の黒人青年射殺事件で、当時警察官のビリーが、証言しなかった彼に不利な証拠となる録画ビデオを見せ、ビリーのつかんだニューヨーク再開発の巨大利権の証拠隠滅を図ろうとしました。
自分が、使い捨てにされる身の危険を感じたビリーは、ニューヨーク市長ホステラー相手に勝ち目のない復讐を開始しました。
この映画のラスト・シーン‥ビリーが、黒人青年射殺事件の真実が、明るみになるのを覚悟して、警部コリンを呼び出し、ホステラー市長の陰謀を暴く証人として自分を逮捕させ、駆けつけた助手のケイティと二、三言葉を交わしハグしてクールに別れるシーンは、ビリーとケイティが、お互いを思いやるやさしさに溢れた切なく心に沁みる名シーンです。