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心の時空

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インサイド・ルーウィン・デイヴィス/名もなき男の歌  シネマの世界<第352話>

a0212807_2144260.jpgアメリカ映画の逸材ジョエルとイーサン、コーエン兄弟の監督・脚本・編集による最新作映画「インサイド・ルーウィン・デイヴィス/名もなき男の歌」(原題 Inside Llewyn Davis カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品)が、天神TOHOシネマズで公開中なので早速見て来ました。
映画は、1961年冬のニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジで暮らす無名のフォーク・シンガー、ルーウィン・デイヴィスの一週間をコーエン兄弟監督は、愛情をこめて情感豊かに描いています。
コーエン兄弟の演出は、いつものとおり技巧的で、映画の冒頭、ルーウィン・デイヴィス(オスカー・アイザック 1980~ 歌とギターが上手い)が、グリニッジ・ヴィレッジのコーヒー・ハウスで、a0212807_2155849.jpgフォークソングを一曲歌い終わると得体の知れない男から外に呼び出され彼は、いきなり殴る蹴るの暴行を受けます。
実は、これが、映画のラストシーンで、ルーウィン・デイヴィスに密着した一週間最後の日の出来事を描いています。
映画を見ている者には、この時点で彼に一体何が起きたのか分からないまま映画は、展開していきます。
a0212807_21105759.jpgコーエン兄弟は、映像の色彩トーンを少し暗くし1960年代初頭、当時ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジで明日を夢見ながら歌っていた貧しく無名のフォーク・シンガーたちの暮らしをリアルに描いています。
1960年代になるとフォークソングは、ニューヨークを拠点に見る見るうちにアメリカ全土を席巻しました。
a0212807_21112913.jpgコーエン兄弟のフォークソングへのオマージュ(熱い思い)と1960年代アメリカの若者たちが、社会変革へ向かった時代への郷愁を感じました。
うだつの上がらないルーウィン・デイヴィスに愛想尽かす恋人役をキャリー・マリガン(1985~)が自然体で演じ、ルーウィンが、オーディションを受けるためシカゴへ向かう途中、彼と絡む得体の知れない肥満男をジョン・グッドマンa0212807_21133060.jpg(1952~)が、怪演しています。
ルーウィンのレコードは、さっぱり売れないものの彼の才能と歌の上手さを買ったプロデューサーが、フォーク・グループとしてデビューするよう提案します。
しかし、ソロのミュージシャンとして活動したいルーウィンは、提案拒否しました。
a0212807_2118371.jpgルーウィンは、食い繋ぐために取得していた船員免許も失くし寝るところもなく友人や知人のアパートでソファを借りて寝ていました。
映画の中で一匹の猫(名はユリシーズ)が、ルーウィンの行き場のない暮らしにからむ重要な役を演じています。
コーエン兄弟は、売れないフォーク・シンガーのルーウィン・デイヴィスを一見ダメ人間のように描きながらも自分の信念を曲げず、a0212807_21275685.jpg自尊心を捨てない彼に、心からエールを送り、シリアスな中にもユーモアを交え喜劇といえば喜劇、不運の続く男の悲劇といえば悲劇として映画を構成、併せてルーウィンと同じステージに、無名時代のピーター・ポール&マリー、ブラザーズ・フォーを思わせるフォーク・グループを登場させ、映画のラストシーンには、デビュー前の若いボブ・ディランを登場させました。
a0212807_21281996.jpgコーエン兄弟は、1960年代初頭のニューヨークならびにグリニッジ・ヴィレッジで暮らしたフォーク・ミュージシャンたちへのオマージュとして映画を美しい映像叙事詩にしました。
by blues_rock | 2014-06-06 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)