漆(ウルシ)の話(前編)
日本産漆(漆の木の樹液)は、江戸時代末期(幕末)に採取(生産)された1,100㌧をピークに減少、一方、漆の消費量のピークは、昭和11年の2,138㌧が最高ながら国産の供給量は、全体の2%、98㌧に激減していました。
平成25年現在わが国の漆消費量は、わずか58㌧、国産品は‘生正味漆’など高品質漆向けに生産されている1.5㌧のみで、そのうちの70%を岩手県(二戸)が生産しています。
日本で消費される漆のほとんどが中国四川省と周辺の山間地で生産されたもので漆の木から掻かれた(採取された)漆は、四川省の成都に集められ日本に輸出されます。
漆(ウルシ こちら)は、縄文時代から生活の中で使われてきました。(右写真:青森県三内丸山遺跡から発見された5,500年前の‘縄文ポシェット’)
漆の特長は、何といっても‘100%天然素材’であること、1本の漆の木から200㌘と極めて少なく貴重であること、循環型自然生態系のメカニズム「萌芽(ほうが)」による栽培‥漆の木を伐採しても、切り株の根元から新しい芽が出て成長(これを萌芽と呼ぶ)何回も再生産可能なことです。
漆の効能としてすでに衆知されているのが、漆塗膜の抗菌・殺菌効果です。
漆塗膜された容器は、高濃度の酸やアルカリなどの化学薬品、アルコール薬品、化石燃料液体に極めて強く、簡単に化学反応しないことも実証されています。(後編に続く)