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心の時空

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虚栄のかがり火  シネマの世界<第342話>

a0212807_1574047.jpg鬼才ブライアン・デ・パルマ監督(1940~)の1990年作品「虚栄のかがり火」(原題「The Bonfire of the Vanities」を直訳)です。
デ・パルマ監督独特のカットによる映像は、熱烈なファンも多く1987年作品「アンタッチャブル」で見せた階段を落ちる乳母車など斬新なシークエンスを憶えている方も多いと思います。
ところが、映画「虚栄のかがり火」のプロットは、サスペンスタッチで‘おもしろい’ものの製作企画の段階で監督候補が二転三転、やっとデ・パルマ監督に決まったと思ったら今度は、製作会社ワーナーが、より大衆受けする映画になるよう脚本の書き直しを命じ、本来強欲で利己的な大手証券会社の敏腕金融トレーダーであるはずの主人公を好感度の良いコミカルな人物にさせ、華やかな男女関係を強調させました。
a0212807_214148.jpg困ったことにプロデューサーもキャスディングに横やりを入れ、人気上昇中のトム・ハンクス(1956~ 当時34才)を主演させることにこだわりました。
この二つの決定的な判断ミスで、映画プロットの基調となるべきサスペンス性が失われ興行成績は、まったく振るいませんでした。
脚本と俳優(キャスディング)で大きなミスをした「虚栄のかがり火」は、鬼才デ・パルマ監督の演出でも映画ファンに不評でした。
さて、映画の内容ですが、ウォール街の敏腕トレーダー、シャーマン(トム・ハンクスのキャラではない)は、社交好きな妻の目を盗んで自由奔放な富豪夫人のマリア(メラニー・グリフィス)とのアヴァンチュールを楽しんでいました。
ある日シャーマンは、ベンツで空港へマリアを迎えに行き、その帰り道ハイウェイで降り口を間違え黒人の街ブロンクスに迷い込みました。
マンハッタンへ戻る標識を見つけたものの車から降りていたシャーマンを二人の黒人が、見つけ取り囲みました。
a0212807_223134.jpg助手席のマリアは、とっさに運転席に移り車を急発進させシャーマンが車に乗り込んだ時、黒人の一人をはね、そのまま逃げました。
ケガをしたもう一人の黒人が、車はベンツで、Rから始まるナンバー・プレートであったこと、白人の男女であったことを憶えていました。
白人の運転するベンツにひき逃げされ意識不明の重体となった黒人被害者(実際は強盗未遂の加害者)は、一夜にしてテレビニュースのスターになりました。
また、この事件を自分の利益のために利用しようと企む人物も現われました。
一人は、黒人牧師の宗教指導者ともう一人が、ニューヨーク市長選に出馬するつもりの白人地方検事でした。
a0212807_253673.jpgこれに、酒浸りでクビ寸前の新聞記者(ブルース・ウィルス)とブロンクス裁判所の辣腕判事(モーガン・フリーマン)も事件に関わり‥映画の展開は、デ・パルマ監督の演出手腕に委ねられていきますが撮影以前の判断ミスによる失敗は、鬼才デ・パルマ監督を以ってしても補い切れませんでした。
この「虚栄のかがり火」は、もう一度‘脚本・監督・俳優’をそろえ、能力あるプロデューサーの手でクールな社会派サスペンス映画としてリメイクして欲しいと思います。
by blues_rock | 2014-05-19 01:56 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)