ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

WOOD JOB!~神去(かむさり)なあなあ日常  シネマの世界<第344話>

a0212807_22543929.jpg三重県津市美杉町の神去(かむさり)地区は、県中西部の山奥、奈良県境にあり、神去の人びとは、先祖伝来の林業を生業(なりわい)として暮らしてきました。
「なあなあ」とは、神去で暮らす人たちの口グセで意味するところは、「ゆっくりやろう」だとか、アメリカ人がよく口にする「take it easy」のようなものでしょう。
矢口史靖(1967~)監督の最新作「WOOD JOB~神去(かむさり)なあなあ日常」(脚本も矢口監督)は、林業をテーマに、過疎化した山の奥地(つまり限界集落 こちら参照)で先祖代々の家業である林業を営む男たちとその家族、片や都会育ちで自立できない若者が、応募した林業研修を受けるために神去を訪ね、地元の人たちとカルチュア摩擦を起こしながら林業に取組む中で次第に受け入れられていくという心温まるコメディ映画にしました。
a0212807_22562389.jpg矢口監督の演出は、チャラチャラしコンビニとスマホがなければパニックになる今どきの若者たちにポップで軽妙なギャグのツッコミを入れ、コメディタッチながらも骨太でエネルギッシュな映画「WOOD JOB~神去(かむさり)なあなあ日常」にしました。
林業は、いまTPP交渉で軟(やわ)な泣きごとを並べ大騒ぎをしている他の産業(とくに農業)のはるか以前、木材輸入自由化を受け入れ必死に努力し今に至りました。
矢口監督は、林業の抱える問題や苦労をあまり大袈裟に取り上げないで、林業に励む人たちが、山間(やまあa0212807_22564289.jpgい)に凛としてそびえるを大木を仰ぎみて100年前に植林した先祖に感謝し伐採した跡地には100年後の子孫のために植林していること、日本の山を営々と管理し地域の伝統文化を継承していること、古来より山の神へ畏怖の念(山岳信仰)をもつ林業家への敬意と愛情を以って映画を撮っています。
映画は、都会の高校を卒業したものの進路も決まらずチャラチャラしていた主人公勇気(染谷将太)が、偶然見た‘林業プログラム’パンフレット表紙の林業ヘルメット姿の美しい女性直紀(長澤まさみ)に一目惚れし1年間の林業プログラム研修に参加、地元林業会社のベa0212807_22593164.jpgテラン社員ヨキ(伊藤英明)の熱血指導で鍛えられ少しずつ成長していく勇気の姿を100年杉の大木林とその雄大な山の自然をバックにして描いていきます。
矢口監督のキャスティング・センスもすばらしく(公式サイトこちら)出演者に徹頭徹尾、軽妙なコメディ・タッチの演出指導をしており、エンドロール最後のカットまでギャグに満ちています。
映画には、ブログでは、書き切れない見どころがいくつもありますので、ぜひ映画館で見て欲しいと思います。
a0212807_238596.jpgいくつか私の印象に残ったところをあげると「山の緑、空の色、風の音、陽の光など映像の爽快感」、「コマおとしによる時間表現」、「田舎暮らしやスローライフを軽佻浮薄に讃える都会人への痛烈な皮肉」、「山の頂(いただき)での‘コーヒータイム’」、「子孫繁栄を祈願する神事のエロス」、「子供たちの自然な演技」、「マイア・ヒラサワ(1980~)の主題歌」ほか多数あります。
矢口監督は、好きな映画、敬愛する監督へのオマージュとして、ワンシーンを自分の作品に撮り入れるそうですが、終盤「博士の異常な愛情」(こちら)と「ハートロッカー」(こちら)を想像するシーンがありました。
by blues_rock | 2014-05-21 00:21 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by E・O at 2014-05-21 01:50 x
2~3日前にNHKで「フィールドオブドリームス」を放送していたので何十年ぶりに見て、その情感に最後まで見てしまいました。日本にも小津安二郎のような監督がいたのに、どうして育たなくなったんですかねぇ。今度のゴジラは日本人の心をもったゴジラらしいですよ。期待できそう!!
Commented by blues_rock at 2014-05-21 19:16 x
映画の‘感動’は、脚本・監督・俳優この三位一体の質に概ね比例すると思います。
映画製作を束ねるプロデューサーの映画センスも重要、同時に映画ファンの反応への嗅覚もプロデューサーに求められる能力の一つと思います。
良い映画は、その時代の映画ファンがつくると思います。
前作のゴジラは、巨大海イグアナのようでしたが、新作のジャポニカ・ゴジラも楽しみにしています。