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心の時空

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a day in my life

台風クラブ  シネマの世界<第339話>

1983年に「魚影の群れ」(こちら)を撮った2年後の1985年、当時37才で新進気鋭の相米慎二監督(1948~2001)は、一風変わった青春映画「台風クラブ」を撮りました。
a0212807_18573714.jpgこの映画を見たイタリアの名匠ベルナルド・ベルトルッチ監督(1941~)は、いたく創作意欲を刺激されたようで後日談でそうコメントしています。
相米監督は、長野県片田舎の中学校を舞台に、中学3年生クラスの生徒たちの屈託のない青春を台風直撃前日の金曜日の朝から台風が通過した日曜日の朝までの無軌道な行動をドキュメンタリーのように撮りました。
この映画に出演当時14才だった工藤夕貴(1971~)始め出演者のほとんどが10代半ばの少年少女たちで相米監督は、カメラの長回しで彼ら思春期特有の暴発感を舐めるように撮影しています。
工藤夕貴扮する少女が、日常生活の退屈さから何気に言う「台風こないかな?」というセリフや映画の不可解なa0212807_2343515.jpg映像、深夜の体育館で少年少女たちが少しずつ服を脱ぎ下着姿でダンスをするシーン、暴風雨の中でびしょびしょに濡れた少女たちが下着姿ではしゃぐシーン、他にも少女の同性愛やストーカーのような恋、少年少女の喫煙、少女の家出などのシーンの連続と云えば、変態映画と勘違いする方もおられるかもしれませんが、文化祭前夜に漂う不思議な一体感と思春期の抑え難いエネルギー、不条理な言動を描いた紛れもない青春映画です。
a0212807_23444538.jpgこの映画で工藤夕貴は、体当たりの演技を披露、女優として飛躍的に成長しました。
数学教師と同時にクラス担任の三浦友和(1952~ 当時33才)が秀逸、従来の好青年役から俳優のベクトルを180度転換、女と酒にだらしなく、いい加減で無責任な大人の典型としての役柄を好演しています。
電話をかけてきた生徒の言うことも聞かず酒に酔いロレツの回らない口調で「あと15年もすれば、お前らもオレa0212807_2358238.jpgのようになるんだ」と吐き捨て電話を切られるシーンの演出は、さすが相米監督と感服しました。
相米監督は、執拗なカメラの長回しで俳優たち(とくに少年、少女たち)の演技を一瞬たりとも逃がすまいとカメラに追わせ、丁寧なフレーミングとカメラワークで青春のど真ん中へ台風直撃をさせるという演出で見事な青春映画にしました。
登場するシーンは、少ないながらもクラス担任教師の三浦友和と絡むシーンで用務員として出演した伊達三郎(1924~1991 戦後の大映黄金期に2百数十~3百作品に悪役として出演した名脇役)の存在感もすばらしいと思いました。
by blues_rock | 2014-05-15 00:15 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)