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心の時空

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マルコヴィッチの穴  シネマの世界<第334話>

稀代の名優ジョン・マルコヴィッチ(1953~)が、‘マルコヴィッチ’を演じているものの主人公ではなく‘マルコヴィッチ’は、あくまで映画の道具です。
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「マルコヴィッチの穴」(1999)という奇抜な発想の映画を撮ったのは、異才スパイク・ジョーンズ監督(1969~ 脚本家・俳優)が、30才の時で初監督作品です。
a0212807_0243357.jpg「マルコヴィッチの穴」の脚本を書いたチャーリー・カウフマン(1958~ 脚本家・監督・プロデューサー)もこの映画の脚本で長編映画デビューしました。
映画のプロットは、マルコヴィッチでない者(他者)が、マルコヴィッチの頭に侵入し‘マルコヴィッチ’として外の世界を見たら、外の人たちは‘マルコヴィッチ’の頭に侵入したマルコヴィッチでない者(他者)をどう見るのであろうか‥そんな哲学問答のような思考を伴ったイリュージョンの世界を描いています。
a0212807_025118.jpgこの奇想天外な脚本は、世界の映画関係者から絶賛されチャーリー・カウフマンは、ヴェネツィア国際映画祭国際批評家連盟賞ほか数々の映画コンクールで脚本賞を受賞しました。
この奇妙奇抜な映画は、売れない人形使いのグレッグ(ジョン・キューザック 1966~)が、妻のロッテ(キャメロン・ディアス 1972~)から就職するよう言われ働き始めた会社の資料室で‘マルコヴィッチ’の頭に侵入する不思議な穴を偶然見つけるところから始まa0212807_0402073.jpgります。
グレッグは、穴から侵入すると15分間だけ俳優ジョン・マルコヴィッチの頭に侵入‘マルコヴィッチ’になることを発見、上司のマキシン(キャサリン・キーナー 1959~)に報告しました。
半信半疑ながら興味を持ったマキシンは、ジョン・マルコヴィッチに電話し強引に会う約束を取り付けました。
グレッグは、妻ロッテにも「マルコヴィッチの穴」のことを話しました。
a0212807_0464770.jpg好奇心の強いロッテは、興味津々でグレッグに案内させ「マルコヴィッチの穴」に侵入しました。
‘マルコヴィッチ’になったロッテは、ジョン・マルコヴィッチと会い話しているマキシンに一目惚れ、マキシンもまたロッテを感じるジョン・マルコヴィッチを愛し‘マルコヴィッチ’を通して愛し合うロッテとマキシン、「マルコヴィッチの穴」を15分200ドルのビジa0212807_0494058.jpgネスにしたマキシンとグレッグ、そのマキシンに横恋慕するグレッグと事態は縺れてきます。
‘マルコヴィッチ’を乗っ取られたことに気が付いたジョン・マルコヴィッチも「マルコヴィッチの穴」に侵入‥ジョン・マルコヴィッチだらけの中に投げ込まれました。
映画には、チャーリー・シーン、ショーン・ペン、ブラッド・ピット、ダスティン・ホフマンなども実名で登場します。
a0212807_161520.jpg自己という個人は、一人から成るのではなく、個人が誕生した瞬間から母親、家族に始まり、常に多数の他者と多量かつ多重な人間関係で情報と知識を得ている、人間は生きている限り、常にどこかでダレかに操られている、とスパイク・ジョーンズ監督と脚本家のチャーリー・カウフマンの異才コンビは、「マルコヴィッチの穴」で表現しています。
この「マルコヴィッチの穴」が、二人とも長編映画のデビュー作ながら「俳優ジョン・マルコヴィッチ(上写真)」を自己表現の道具(マルコヴィッチ本人も楽しんでいます)として使い、最もリアル(現実的)かつ確実に自己を操る他者になれる手段が、演劇や映画で演じることであると主張しています。
by blues_rock | 2014-05-08 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by J-マッチ at 2014-05-11 21:54 x
この映画は、とても珍しいテーマなので、映画館で観ました。
主人公の職業が人形使いというのも意味深ですね(笑)
それ以来、スパイク・ジョーンズの映画はほとんどレンタルで観ましたが、この映画が一番好きです。
ただ、何故マルコヴィッチを選んだのだろう?という疑問が最後まで残りました。
Commented by blues_rock at 2014-05-12 01:05
スパイク・ジョーンズ監督と脚本のチャーリー・カウフマン二人の名優マルコヴィッチへのオマージュとくに脚本を書いたチャーリー・カウフマンが、相当マルコヴィッチのファンなのだろうと推察します。
マルコヴィッチ本人もノリノリで本人を演じるというより遊び楽しんでいるようです。