激突(Duel) シネマの世界<第337夜>
この「激突(Duel)」は、スピルバーグ監督が、1971年当時まだ無名で一介のテレビディレクター(25才)のとき、テレビ放送映画用として撮影しました。
これが一般劇場で公開されると大ヒット(日本公開1973年)、スティーヴン・スピルバーグは、映画監督として一躍時代の寵児となり、以来次々に映画史に残る傑作・名作映画を撮りました。
「激突(Duel)」は、そのスタートとなる記念碑的な映画です。
セールスマンのディビット・マン(デニス・ウィーバー 1924~2006)は、車を運転しながらカリフォルニアに向かう途中のハイウェイで前を行く排気ガスもうもうの巨大トレーラー(タンクローリー)を追い越したところ、突然パワフルなディーゼル・エンジンを搭載した鉄の塊である巨大トレーラーから執拗に追われ、何で追われるのか理解不可能なセールスマンは、恐怖で必至に逃げ回りますが逃げ切れず、次第に崖の淵に追い詰められていきます。
スピルバーグ監督の‘早撮り’は、つとに有名で大抵の場合リハーサルもないまま撮影に入るそうで、スピルバーグ監督の映画デビュー作とも云える「激突(Duel)」の撮影もわずか16日間、撮り終え編集からテレビ放送まで21日、「激突(Duel)」の時からスピルバーグ監督の‘映画づくりの天才’ぶりを窺い知ることができます。
若きスピルバーグ監督の面目躍如、才気溢れるダイナミックな演出が、すばらしいと思います。