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心の時空

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俊英の映画監督デレク・シアンフランス(前編)  シネマの世界<第324話>

アメリカの映画監督にして撮影監督、脚本家、編集技師でもあるデレク・シアンフランス監督(1974~ 現在40才)は、映画の才能が豊かで演出センス抜群なのに寡作な(作品の少ない)映画監督です。
a0212807_2348433.jpgシアンフランス監督の映画で私が見たのは二作品ながら、30代半ばに撮った2010年映画「ブルーバレンタイン」、2012年映画「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」の二作品を見ただけでも単に映画監督では的確ではない‘映画作家’と称したくなるくらい映画に登場する人物の心理(及び真理)表現に優れています。
その心理描写の見事さに映画という道具を使って人間の真理を描く卓越した才能を感じます。
シアンフランス監督作品についてウンヌン評論するのではなく、もっと本質的な芸術性にこそ価値があると思います。
「ブルーバレンタイン」、「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」ともに登場する主人公たちの心理描写が、実にリアルで見ている者を息苦しくさせ、気持ちをブルーにさせますが、だからと言って途中で見るのを止めようと言う気にはa0212807_23531235.jpgなりません。
「ブルーバレンタイン」は、名優ライアン・ゴズリング(1980~)と名女優ミシェル・ウィリアムズ(1980~)の‘二人の舞台’映画 と言っていいでしょう。
製作総指揮にライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズ二人の名前もクレジットされています。
映画の撮影にあたってシアンフランス監督は、二人に事前リハーサルをほとんど行なわず、またリテイクもほとんど撮らずに二人の俳優のアドリブと成り行きに任せてカメラを回しました。
a0212807_2355672.jpg男女が出会い、愛し合い結婚し子供ができた頃の若い男(ライアン・ゴズリング)と若い女(ミシェル・ウィリアムズ)二人の希望に満ちた過去を映した映像は明るく、7年が過ぎた夫婦二人の間に浮気も暴力もないのに、お互いやり切れないくらい、相手への不満と苛立ちを募らせ不毛の口論をし、その閉塞感と倦怠感で疲れた現在を映す映像は暗く、映画の冒頭からシアンフランス監督の演出は、過去の映像と現在の映像を交互にカットバックさせながら一組の男女の愛の始まりと終わりを‘これでもか’と言わんばかりに辛辣かつリアルに描いています。
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「ブルーバレンタイン」のラストシーンで二人が離婚を決意し‘ダディ!ダディ!’と叫ぶ幼い愛娘に背を向け、祭りの花火をシルエットに夜の闇に消えていくシーンのなんと切なく哀しいことか‥悲痛な子供の叫び声と花火のパンパンと弾ける音が私には堪えました。(後編に続く)
by blues_rock | 2014-04-14 00:14 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)