黙秘 シネマの世界<第289話>
ドロレスをDV虐待する夫ジョー役にデヴィッド・ストラザーン(1949~)、過去に泥酔したジョーが転落死した事件以来、ドロレスに付きまとうマッケイ警部をクリストファー・プラマー(1929~、2011年「ドラゴン・タトゥーの女」出演)など名優たちが、共演し脇を固めています。
その島で暮らす富豪の老未亡人の館に、偶然郵便配達に来た郵便局員が見たのは、階段の下で血だらけになって横たわる女主人と階段の上で伸し棒を手に呆然と立ち尽くす家政婦ドロレスの姿でした。
無実を主張しながらも事件の詳細には、黙秘を通すドロレスでした。
事件を知り数年ぶりに帰郷した娘セリーナにもドロレスは、堅く口を閉ざしました。
さすがスティーヴン・キング! 主人公のドロレスとセリーナほか登場する人物の心理描写が深く細やかです。
映画の中で見る者に次第に登場人物たちの謎が解き明かされていきます。
少しずつ浮かび上がってくるドロレスの女主人と夫の転落死の背景と真相が、丁寧に撮られ、そこらの陳腐なミステリーサスペンス映画とは、格段の差を感じました。
主人公ドロレスを演じたキャシー・ベイツは、ミザリーを彷彿とさせる迫真の演技を披露、原作者スティーヴン・キング自身もキャシー・ベイツ=ドロレスを想定して執筆したそうです。