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少女は自転車にのって  シネマの世界<第281話>

a0212807_005998.jpg福岡市天神のKBCシネマでサウジアラビア初の長編映画「少女は自転車にのって」を見ました。(公式サイト こちら
サウジアラビアは、イスラムの戒律で娯楽が禁止され当然のことながら映画も禁止されています。
普段何の信心もない不届き者の私ですが、早朝拡声器からコーランの流れるイスラムの国に生まれなかったことを‘神仏’に感謝しています。
さて、映画「少女は自転車にのって」(原題「ワジダ」)は、サウジアラビア初の長編映画もさることながら驚くなかれ、女性に厳しいイスラムの戒律下、初めての女性監督ハイファ・アル=マンスール(1974~)による初めて尽くしの映画です。
さらにこの映画が、世界の映画史に残る重要なところは、映画の撮影が宗教警察による監視のもと、すべてサウジアラビア国内で行われたことにあります。
a0212807_073744.jpg女性であるアル=マンスール監督は、イスラムの戒律により映画の総指揮を執る監督でありながらロケの現場に撮影スタッフの男性陣と同席できないため、離れた場所に停めた車に隠れモニターを見て俳優やスタッフ陣に無線で指示を出していたそうです。
a0212807_081588.jpg映画のストーリーは、サウジアラビアの首都リヤドを舞台に10才の少女ワジダが、‘男の子のように自転車に乗りたい’と願い、あれこれ手を尽くしてついに成し遂げ、憧れの自転車に乗ってリヤドの大通りを疾走するまでを描いたシンプルな物語です。
映画は、イスラムの戒律と宗教法に縛られ厳しく制約されて生きるイスラム世界の女性の姿も活写、女性が人間として生きられないa0212807_0114835.jpgイスラム社会の矛盾をやんちゃでオテンバな、少し反抗的ながらも純粋無垢(むく)な心をもつ少女ワジダの視線で描いています。
アル=マンスール監督は、イスラムの戒律と因習を声高に非難するのではなく、少女がただ自転車に乗りたいという至極自然なことを映画のプロットにして、見る者の心に「人を幸せにするはずの宗教が人を縛り苦しめる」という二律背反を鋭くもしなやかなに訴える演出の上手さに映画監督としての才能を感じました。
a0212807_0131384.jpg主人公の少女ワジダは、パキスタンで女性教育の必要性を唱えただけでイスラム原理主義のタリバンに狙われ銃殺されかけたマララ・ユルフザイさん(左写真 1997~ 事件当時15才)に重なりました。
私は、同じイスラムの女性であるアル=マンスール監督が、マララ・ユルフザイさんの勇気を讃えているようでなりませんでした。
by blues_rock | 2014-01-19 23:56 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)