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心の時空

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a day in my life

ダンサー・イン・ザ・ダーク(後編)  シネマの世界<第278話>

a0212807_0531753.jpgセルマは、ビルを訪ね自分には、どうしても必要なお金なので返してくれるよう頼み、もみ合ううちにビルの拳銃が、暴発しビルにあたってしまいました。
ビルは、妻リンダの浪費癖に辟易していましたから、自分を信頼してくれる友人セルマのお金を盗んだ後悔と自己嫌悪から「お願いだから自分を殺して欲しい。」と茫然自失のセルマに懇願、セルマは、泣き叫びながらビルの願いを叶えてあげました。
a0212807_11377.jpgリンダは、駆けつけた警察に、セルマがビルの金庫からお金を盗み、見つかったので殺したと事件の経過をまるで他人ごとのように証言しました。
セルマは、警官殺しで逮捕され死刑判決を受けました。
人として純粋なセルマを愛し支援する友人キャシーほか同僚たちは、死刑判決を受けたセルマの再審裁判を求め、セルマに本当のこと(お金は息子ジーンの目の手術のために蓄えたこと)をすべて証言するよう説得しますが、セルマは、自分の命より失明する目の病気が、遺伝すると分かりながら息子ジーンを産んだ自分を責め、ジーンが自分の再審裁判で失明する目のa0212807_114574.jpg病気を知り、成長しながら失明の不安に苦しむことを嫌がり、自分の再審要求を断わり、絞首刑になりました。
セルマは、厳しい状況にあるにも関わらず純粋な心を持ち続け、ビルとの約束を頑(かたく)なに守るなど、映画を見ている私は、セルマに同情するより逆に‘しっかりせんかい、自分の命は、自分で守らんかい’と情けなく叱りたくなりました。
トリアー監督は、セルマがつらく苦しいとき現実逃避し空想するシーンをミュージカル仕立てに演出、映画の中でa0212807_123222.jpg何度も登場するミュージカルシーンには、ジャンプカットを使わず、ハンディカメラによる長回し撮影、セルマが人生唯一の楽しみとしていたミュージカルを夢見心地で歌うシーンの幸せそうな表情を上手く表現していると思います。
映画のラストに、
セルマが絞首刑になるシーンの憂鬱さ、やり切れなさ、鉛を飲みこんだような気持ちの重さは、映画を見終わった後も続きます。
「映画は、靴の中の小石でなければならない」‥ラース・フォン・トリアー監督の面目躍如と言ったところです。
a0212807_175931.pngセルマを心から愛し心配する年長の友だちで同僚のキャシーを演じたフランスの女優カトリーヌ・ドヌーヴ(1943-)が、実にすばらしく、「シェルブールの雨傘」(1964)、「昼顔」(1967)で私が、うっとり見とれていたころの絶世の美人女優から年輪を重ね今や名女優となったカトリーヌ・ドヌーヴに敬意を表したいと思います。
セルマを愛する誠実な友人ジェフ役のピーター・ストーメア(1953- サイコチックな犯罪者役が上手い)、セルマの隣人で警察官の友人ビル役のデヴィッド・モース(1953-)、医師役のステラン・スカルスガルド(1951-)など共演者も名優を揃え、映画に隙(すき)がありません。
by blues_rock | 2014-01-14 00:14 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)