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心の時空

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バティニョールおじさん  シネマの世界<第272話>

フランス映画「バティニョールおじさん」(2002)の原題は、「ムッシュ・バティニョール(Monsieur Batignole)」、映画のプロットは、第二次世界大戦後にフランス人の心と社会に深い傷痕を残した戦前のフランス政府(ナチスドイツ傀儡政権)による‘ユダヤ人狩り(ユダヤ人強制収容)’に反応するパリ市民の姿を描いています。
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映画の舞台は1942年のパリ、当時のパリは、ナチスドイツに支配されていました。
パリの下町で小さな精肉店バティニョールを営むムッシュ・バティニョール役のジェラール・ジュニョ(1951-)が、演じる国家権力に逆らわず、小市民的な‘触らぬ神に祟りなし’を地で行くような普通のオヤジ然とした風貌と、a0212807_14431563.jpgリアルな存在感は、映画のストーリーを暗くシリアスなものではなく少しコミカルなものにしました。
肉屋のバティニョールを演じるジェラール・ジュニョは、主演のほかこの映画の監督・脚本・製作も担当しています。
共演者たちは、ほとんど私の知らない俳優ばかりですが、ユダヤ系同朋のフランス人を強制収容するためナチスドイツに協力したという今でも良識あるフランス人の心に残る悔悟の念をジュニョ監督は、当時のパリ庶民の‘浅はかな愚かさ’を軽妙に演じるよう演出にしています。
a0212807_1443513.jpgバティニョールは、娘の婚約者が、同じアパルトマンの3階に住むユダヤ人医師家族を密告したことから、図らずもユダヤ人強制収容に協力した褒美としてナチスからユダヤ人医師が所有していた広い部屋を手に入れました。
ある日、バティニョールは、自分の気が進まないにも関わらずドイツ軍にコネを広げようとする彼の家族の意向で、ドイツ将校たちを招いたパ-ティを彼の新しい家で開きました。
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パーティの最中チャィムが鳴り、バティニョ-ルが、ドアを開けると目の前に現われたのは、ユダヤ人医師の息子シモンでした。
シモンは、ドイツの強制収容所へ護送中の列車から逃亡、必死の思いで自分の家に帰って来たのでした。
a0212807_14451727.jpg子供のシモンは、自分の家に着いたと思い無邪気に「お腹がすいた、飲むものも欲しい。パパたちは?」と部屋に入ろうとしました。
大あわてのバティニョールは、屋根裏に匿(かくま)い、食べ物と飲み物を届けますが、シモンは、天窓から外に出て屋根の上で友だちと遊んでいました。
利発ながらよく喋るシモンは、自分の身の危険も顧みず次々に事件を起こします。
バティニョールは、その度にハラハラする危機に巻き込みまれアタフタしながらも自分の心に眠っていた人間性
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(人として当然の行い)に目覚めていきました。
シモンと2人の従姉妹の子供3人をスイスへ亡命させるためバティニョールは、行動を起こしました。
スイスへ向かう途中、バティニョールと子供たちを見かねた普通の人たちが、無言で助けてあげる善意が、映画
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を見ている人たちの心を温かくしてくれます。
日本にも“戦争の不条理と軍隊の理不尽”を描いた映画(こちら 黒木和雄監督「戦争三部作」のような)が、もっとあっていいと切に思います。
by blues_rock | 2014-01-04 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)