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心の時空

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最初の人間  シネマの世界<第266話>

イタリア、フランス、アルジェリア合作の2012年映画「最初の人間」は、フランス領アルジェリア出身の作家アルベール・カミュ(1913~1960没、自動車事故死 享年46才)の遺作を映画化したものです。
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カミュは、パリで学び人間と社会の‘不条理’をテーマにした小説を書き、「異邦人」・「ペスト」などで世界的に有名になり、43才の時ノーベル文学賞を受賞、戦後最年少のノーベル文学賞受賞者になりました。
a0212807_17413443.jpgカミュは、自伝的小説「最初の人間」を執筆中、パリ郊外で自動車事故に遭い死亡、ノーベル文学賞を受賞してわずか3年、46才の短い生涯でした。
映画は、カミュの分身である主人公のフランスの有名な小説家ジャック・コルムリが、1957年夏、久しぶりに自分の故郷であるフランス領アルジェリアに帰郷したところから始まります。
a0212807_17422946.jpg当時のアルジェリアは、フランスからの独立を巡って激しい紛争(内戦)が続いていました。
アルジェリアを故郷と想い、自分をアルジェリア人と思うジャック・コルムリは、アルジェリアの大学で講演を行ないアルジェリア人の独立運動に一定の理解を示します。
フランス領アルジェリア県の独立に反対するフランス人入植者・フランス民族主義者・右派の学生から激しい抗a0212807_17485788.jpg議を受けたジャック・コルムリは、回りが止めるのも聞かず早々に大学を出て、アルジェリア人過激派(イスラム民族解放戦線)の爆弾テロが、起きている危険な紛争地帯で一人暮らす老いた母を訪ねました。
フランスで作家として名を成したジャック・コルムリは、この地で暮らす老いた母に被害が及ぶことを恐れ、パリへ移住するよう母を説得しますが、彼の母もまた‘ここ(アルジェリア)が故郷だ、自分のことは心配いらない’と息子の願いを断りました。
a0212807_1749328.jpgジャック・コルムリは、自分が子供のころ暮らした懐かしい風景を見て貧しかった少年の頃を憶い出し街に出ました。(予告編:こちら
映画のシーンでジャック・コルムリが、アルジェリアのラジオ番組に出演し爆弾テロを行なうアルジェリア人過激派(イスラム民族解放戦線)へ「私は、正義を信じる。だが私は、正義より前に母の命を守る。」と抗議のメッセージを行ないます。
a0212807_17505050.jpgジャック・コルムリのメッセージこそ作家として‘人間とは何か?’を問い続けたカミュが、遺作となった「最初の人間」に書こうとしたその答えではないかと思います。
監督は、フランスの名匠ジャンニ・アメリオ監督(1945~)、主人公のジャック・コルムリ(アルベール・カミュの分身)を名優ジャック・ガンブラン(1957~)が、品のある凛とした姿勢で名演しています。
ジャック・ガンブランは、1999年「クリクリのいた夏」(こちら)、2013年「ブラインドマン その調律は暗殺の調べ」に主演、それぞれ性格の違う主人公(前者は流れ者の復員兵、後者は一匹狼のベテラン刑事)を好演していますので、映画好きの方にお薦めいたします。
(左写真:アルベール・カミュ)
by blues_rock | 2013-12-24 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)