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心の時空

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大臣と影の男  シネマの世界<第263話>

a0212807_23364167.jpgフランスとベルギーの共同製作映画「大臣と影の男」は、日本では劇場未公開の作品で2013年2月にビデオ・スルーされました。
原題「L'exercise d'État」を日本語に直訳すると「国家の修練」という意味、それからすると日本語タイトルの「大臣と影の男」は、映画のプロットを少し説明し過ぎでおり安易でセンスがありません。
映画は、フランス政府内部のフランス国鉄民営化をめぐる権力争いと政治の権謀術数、各省大臣と大臣に仕える政府高官たちの暗闘を描いています。
監督・脚本は、フランスの映画監督ピエール・ショレール(1961~)、ベルギーのダルデンヌ兄弟(こちら)が、映画製作でショレール監督を支えています。
「大臣と影の男」は、カンヌ国際映画祭で‘国際映画批評家連盟賞’を受賞、フランスの映画賞セザール賞では、「オリジナル脚本賞」・「音響賞」・「助演男優賞(ミシェル・ブラン)」を受賞しました。
a0212807_23404427.jpg主人公のフランス運輸大臣ベルトランにベルギーの俳優オリヴィエ・グルメ(1963~ 2011年「少年と自転車」・2012年「裏切りのスナイパー」に出演)、運輸大臣の秘書官ジル(影の男)にミシェル・ブラン(1952~ 俳優にして脚本家・映画監督 1992年「仕立て屋の恋」主演)、この二人の名優が、実にすばらしい演技を披露しています。
映画の冒頭、いきなり人形浄瑠璃の黒子のような集団と全裸の女が現われ、女は大きなワニの口の中へ頭から入って行くというシュールなシーンから始まります。
権益のために丁々発止の政治的な駆け引きや権謀術数の横行は、いずこも同じ、そんなフランス政界で派閥に属さない運輸大臣ベルトランの政治家としての命綱は、国民の支持と人気だけでた。
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運輸大臣ベルトランを影で支えるのが、有能なベテラン秘書官のジルでした。
ベルトランの運輸大臣としての人気は、安易な妥協をしない硬派の政治家イメージにありましたが、担当大臣として反対を表明していた国鉄民営化は、国の財政赤字解消のために避けられなくなりました。
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秘書官のジルは、運輸大臣ベルトランに、もはやフランス国鉄の民営化は避けられないと現実的な提案をする一方で、国鉄を民営化することは、自分のポリシーに反するので秘書官を辞任すると告げました。
フランス政府の国鉄民営化政策に端を発した国内対立と混乱で政府支持率が低迷、これを憂慮した大統領
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は、国民に人気のあるベルトランに政府支持率を回復する新任大臣を命じました。
運輸大臣ベルトランと秘書官ジルは、自分たちが反対していた国鉄民営化の指揮を執る任務から解放され安堵しますが、大統領は、ベルトランとジル二人の目の前でジルを新任大臣の秘書官から外すと告げました。
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フランス政界を舞台にリアリティのある人物像とテンポの良いシナリオ、キレのある演出、迫力ある音響となかなかの秀作映画なのに、なぜ日本で劇場公開されなかったのか、奇怪千万でお粗末な日本の映画配給会社の現状を見た思いです。
by blues_rock | 2013-12-18 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)