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ミステリーズ 運命のリスボン  シネマの世界<第262話>

チリの名匠ラウル・ルイス監督(1941~2011没 享年70才)の遺作となった2010年作品でフランス・ポルトガル共同製作の長編歴史映画「ミステリーズ 運命のリスボン」を紹介します。(公式サイト:こちら
映画の原題は、「Misterios de Lisboa(リスボンの神秘)」、ポルトガル紙幣にも使われている文豪カミロ・カステロ・ブランコ( 1825~1890 )の原作をラウル・ルイス監督が4時間27分という長編歴史映画にしました。
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19世紀前半ポルトガル王国の首都リスボンを中心にパリ・ローマ・ベネチアと舞台を移しながら爵位にすがりつき没落していく貴族階級と軍事力・経済力を背景にヨーロッパ社会に影響力を持ち始めた新興勢力との暗闘を描くドラマチックな歴史絵巻映画です。
先日ご紹介した映画「宮廷画家ゴヤは見た」(こちら)は、この「ミステリーズ 運命のリスボン」の歴史舞台となっa0212807_0443297.jpgたポルトガル王国と同じ時代のスペイン王国を描いていますので併せて映画を見ていただくとポルトガル・スペインという14世紀から17世紀にかけて絶対王政を確立し世界の海に君臨、植民地支配で栄華を極めたイベリア半島二大覇権国家の没落をリアルに見ることができます。
ラウル・ルイス監督は、映像となる風景・室内外・衣装・大道具・小道具など映画の時代考証に細心の注意を払い、19世紀前半に存在したポルトガル王国没落をリアリズムに徹しながら表現、‘さすが名監督’と唸るような、a0212807_0453920.jpg芸術的な演出センスを随所で見せてくれます。
プロットは、ポルトガルの絶対王政に仕え、没落していく19世紀前半のポルトガル貴族をめぐる家族の愛憎と血脈を軸に、映画に登場するさまざまな人物たちそれぞれの秘密と運命、男女の情熱、欲望と嫉妬、怨みと復讐などが交錯しながら4時間27分という長編ドラマです。
ルイス監督は、次々に登場する人物たちが語る過去の回想シーンをカットバックさせながら、複雑に絡み合う相関関係さらに秘密にされた家族の血脈を描いていきます。
a0212807_0484643.jpgリアリズムに徹したカメラの長まわしでクラシックな絵画を見ているような映像シーンにシュールなイメージを重ね合わせる手法を多用しています。
主人公の少年が、大人になっても大切にしている紙人形の芝居道具は、演劇の幕変わりを担い、カメラ映像を歪ませたシーンやルイス監督の遊びとも思えるカットの挿入など凝りに凝った演出が、随所に見られます。
時代も国境も超えて繋がっていく人物たちの数奇な運命が、お互い秘密と謎に包まれた回想の中で語られていa0212807_0541454.jpgく波瀾万丈の歴史映画です。
4時間27分の超長編映画「ミステリーズ 運命のリスボン」ですが、芸術を愛でるフランスでは、1年のロングラン上映になりました。
by blues_rock | 2013-12-15 00:30 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)