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心の時空

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惑星ソラリス(第一部)  シネマの世界<第253話>

奇才アンドレイ・タルコフスキー監督(1932~1986)は、国際共産主義を標榜する全体主義国家ソ連(現ロシア)に生まれながら終生、芸術家の精神と表現の自由を求めた稀代の映画監督です。
ソ連(現ロシア)を代表する映画監督として今でも世界中に熱狂的なファンを持つ‘映像の詩人’です。
a0212807_12312739.jpg私の思うタルコフスキー監督の代表作品は、1972年発表のSF映画「惑星ソラリス」です。
映画は、二部構成で2時間45分‥ゆっくり展開していく映像(スローテンポのシークエンス)に、初めて映画を見た時、冒頭のクレジットに流れる電子オルガン バッハコラール(讃美歌)前奏曲(映画のラスト・シーンにも流れます)の調べ、水の映像、自然の音(小鳥の鳴き声など)が、過去と現在を表現するカット・バックにモノクロとカラーを織り交ぜた映像と相俟って、私は催眠術にかかったかのように眠たくなりました。
タルコフスキー監督は、のちに「惑星ソラリス」の観客を意図的に退屈させるような作品にしたと述べていますが、私の場合、退屈感とは少し違い、見ていてだんだん気持ち好くなりました。
反面その心地好さが、映画を見る集中力を緩ませ、タルコフスキー監督の表現したい「惑星ソラリス」の主題(プロット)が、しっくり胸に落ちず、映画を見終わった後の満足感より心中のモヤモヤした感覚が気になりました。
二度目は、2時間45分しっかり目を見開き‘なるほど’と納得、大いに映画を堪能しました。
a0212807_1330643.jpg映画を見ていない方に「惑星ソラリス」のストーリーを説明してもきっと退屈なだけと推察しますので‘タルコフスキー映像美’を愉しむつもりで、この傑作映画をご覧になるのが良いでしょう。
タルコフスキー監督は、ソ連が1991年に崩壊する6年前の1984年、ソ連政府からの帰国要請を拒否し亡命、パリで客死しました。
長年ソ連政府当局が、行なってきた芸術と言論の‘表現の自由’対する検閲と弾圧へのタルコフスキー監督の怨みと嫌悪は、相当なものでした。
同じ国立映画大学出身で同朋のニキータ・ミハルコフ監督(1945~ こちら)は、国内に留まり海外(西側)の映画a0212807_13305355.jpg資本と提携し優れた映画を撮りましたが、タルコフスキー監督の祖国に対する怨念と嫌悪感は、最期まで癒えませんでした。
1972年にタルコフスキー監督が撮った映画「惑星ソラリス」のプロットは、難解でストーリーもあってないようなもの、映画と言うよりタルコフスキー監督の映像詩を見ているようでした。
a0212807_13313120.jpg映画の中に象徴的なシーンとして繰り返し出てくるのが、抒情的な水の流れと水中で揺れる水草、海の大きな渦、荒廃した無機化した宇宙ステーションの内部で、タルコフスキー監督は、このシーンを繰り返し延々とカメラの長回しで撮影しています。(後編に続きます)
by blues_rock | 2013-11-27 00:25 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)