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心の時空

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ある秘密  シネマの世界<第241話>

a0212807_357996.jpgユダヤ系フランス人の精神科医で作家のフィリップ・グランベール(1948~)が、書いた自伝「Un secret(ある秘密)」を2007年にクロード・ミレール監督(1942~2012、フランソワ・トリュフォー監督作品をプロデュース)が、人生の最期に脚本を書き撮った映画で、2007年モントリオール世界映画祭グランプリを受賞しました。
映画のプロットは、キリスト教に改宗したユダヤ人男性フランソワ(マチュー・アマルリック1965~)の子供のころから始まる両親と自分の「家族の秘密」をタテ糸にしてフランソワが‘語り手’となり、パリとパリ郊外田舎での現在と過去(第2次世界大戦以前)の家族の暮らしをヨコ糸に紡ぎながら家族の哀しい物語を語ります。
映画は、カットバックしながら過去と現在の映像を交互に見せながら展開していきますので、フランソワの家族の「ある秘密」が次第に明らかになっていきます。
フランソワの母親をセシル・ド・フランス(1975~2010年「ヒア・アフター」、2011年「少年と自転車、2013年「メa0212807_3585127.jpgビウス」」に主演)、父親をパトリック・ブリュエル(プロファイル詳細不明)が演じています。
出演者の中でとくに私の目を引いたのが、フランソワの両親と家族同然の女性を演じたジュリー・ドパルデュー(1973~ 左写真中央 ジェラール・ドパルデューの実娘)でした。
ジュリー・ドパルデューは、「ある秘密」の中で‘狂言回し’の重要な役割を演じ、そのすばらしい演技に対しa0212807_401866.jpg彼女にとって2度目のセザール賞助演女優賞を受賞しました。
映画の冒頭から秘密の影が見え始め、その時すでにフランソワ少年の暮らすナチス・ドイツ占領下のパリでも容赦のないユダヤ人弾圧(迫害と強制収容所での虐殺)が始まっていました。
両親は、自分たちがユダヤ人であることを必死で隠していましたが、学校でナチス・ドイツのプロパガンダ・ニュースで映された「ホロa0212807_41137.jpgコースト映像」を見てユダヤ人を侮辱する言葉を口にした
同級生をフランソワは殴りました。
映画を見ている者は、両親の隠している秘密やユダヤ人家族の不条理で悲惨な状況をこの辺りから次第に知ることになります。
ミレール監督は、映画に登場する人物の顔をアップで撮る演出により、人間の理不尽な不幸や深い絶望、行き場のない孤独、切実な心理描写をこれ
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でもかというリアリティで描写しています。
ミレール監督の語り口に無駄はなく、物語の根幹に関わる言葉は、安易に用いないことで映像に緊張感と透明性を持たせていました。
by blues_rock | 2013-11-06 02:50 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)