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心の時空

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偽りなき者  シネマの世界<第230話>

デンマーク映画「偽りなき者」(原題 Jagten「狩り」)は、トマス・ヴィンターベア監督(脚本 1969~)の2012年作品で今年(2013年)、日本公開されました。
ヴィンターベア監督の前作「光のほうへ」(2010)も心にしみる秀作で‘人間の皮’を少しずつ剥ぎながら‘人間の魂’をさらしていく精神性の高いシリアスな作品でした。
a0212807_2312142.jpgヴィンターベア監督最新作「偽らざる者」もまた強烈なテーマを私たちに突き付け、主人公のまわりにいる善人たちの‘人間の皮’をこれでもか、と言うくらいに引っ剥がしていきます。
映画を見ている者の気持ちを暗くし次第に落ち込ませ、不愉快になりながらそれでも映画に引き込まれていきます。(「偽りなき者」公式サイト こちら
前振りは、これくらいにして映画の骨子を紹介すると、デンマークの地方の小さな田舎町で主人公のルーカス(マッツ・ミケルセン 1965~)は、離婚後愛する一人息子とも別れ失意のうちに、幼稚園の先生をしながら地域の狩猟会に入り近隣の人たちと仲良く暮らしていました。
親友の幼い娘クララも園児の一人で、やさしいルーカスに甘え彼も可愛がっていました。
ところが、クララの家庭では、諍(いさか)いが絶えず、家族にかまってもらえないクララは、ルーカスにプレゼントa0212807_232187.jpgをしたりキスしたりして愛情を求めるようになりました。
思い余ったルーカスは、幼いクララに ‘止めるよう’やさしく諭(さと)しますが、クララは、幼稚園の園長にルーカスから‘性的虐待’を受けたかのようなウソを付きました。
幼い少女クララの作り話(小さなウソ)は、あっという間に近隣に広がりルーカスは、幼児への性的虐待容疑で警察の取り調べを受けました。
子供はウソを付かないと信じている幼稚園園長始め近隣の大人たちは、幼い少女クララの作り話しか信用せずa0212807_232346.jpg自分たちの予断と偏見でルーカスを小児性愛者と決め付け性的変質者の烙印を押しました。
ルーカスは、幼い少女のウソ(冤罪)に人生のすべてを失い疲れ果て、孤立無援の中、親友(クララの父)に会いに行きますが門前払いにされました。
映画の冒頭に登場する善人たちの表面(おもてづら)とは裏腹に、事件を知って駆け付けたルーカスの息子とルーカスに対する近隣住民たちの陰険なイヤガラセ(集団ヒステリーそのもの)は、まるで中世の魔女狩りのようでした。
映画のラスト‥クララの証言でルーカスの冤罪が、晴れた一年後ルーカスは、狩猟会にもどり、近隣の人々ともa0212807_2363174.jpgまた仲良く暮らしていました。
ルーカスと同居を始めた息子も16才になり、狩猟会のメンバーになりました。
さっそく息子を連れ友人たちと鹿狩りに森に行くと、ルーカスを狙い威嚇する銃弾が、彼の横を掠(かす)めました。
ヴィンターベア監督の緊張感溢れる演出は、映画の最後の最後まで緩むことはありませんでした。
ルーカスを熱演したマッツ・ミケルセンは、カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞しました。
マッツ・ミケルセンは、スザンネ・ビア監督(こちら)作品「しあわせな孤独」(2002)と「アフター・ウェディング」(2006)にも出演し見応えのある演技をしています。
by blues_rock | 2013-10-13 02:38 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)