羅生門 シネマの世界<第227話>
黒澤監督は、脚本家橋本忍(1918~)と共同で、小説家芥川龍之介(1892~1927)の短編小説「藪の中」と「羅生門」をベースに映画「羅生門」のシナリオを書きました。
もう一人、黒澤映画を有名にしたのが、カメラの宮川一夫撮影監督(1908~1999)です。
黒澤監督が絶賛した宮川撮影監督の太陽光線を多用したモノクロの映像と画期的なカメラワークは、映画「羅生門」に迫力を与えました。
映画のストーリーはあってなきようなもの‥平安時代の京の都、朽ちかけた羅生門の下で雨宿りしている三人の男たち(志村喬1905~1982、千秋実1917~1999、上田吉二郎1904~1972)による‘盗賊(三船敏郎1920~1997)が殺した武士(森雅之1911~1973)と諍いの元になった武士の妻(京マチ子1924~こちら)’を巡る奇怪な三者三様の話で映画は、始まり‘盗賊が殺した武士と諍いの元になった武士の妻’それぞれの証言、また事件を目撃したという男の証言
63年前に撮影された有名な映画なので多くの方が、ご覧になっていることと思います。
私は、見るたびにこの映画のもつダイナミズムに感心します。
聡明な小説家であった芥川龍之介の問うた「人間が何もない乱世を生き抜くため、その業と言うべきエゴイズムによる行為は、悪なのか、正義とは何なのか」を黒澤明監督は、ダイナミックな演出で見事に表現しています。
今は亡き名優たち(京マチ子さんだけご健在)の好男子ぶりと若さ溢れる名演技も必見です。