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心の時空

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映画監督 ジョン・マッデン  シネマの世界<第217話>

a0212807_2336123.jpgイギリスの映画監督ジョン・マッデン(1949~)は、 ロンドン(ウエストエンド)とニューヨーク(ブロードウェイ)で舞台演出家としても活躍しているだけあって、マッデン監督の映画(と言っても私が見たのは3作品ですが)には、舞台のようなショットが時おり見られとても印象に残ります。
マッデン監督の映画にキャスティングされた俳優・女優の個性をフルに生かすマッデン監督の演出は、いつも‘上手いなぁ’と感心します。
その典型的な作品が、2012年に公開されたマッデン監督の最新作「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」(こちら)です。
7人の高齢者がそれぞれもつ人生の哀歓と1人の若者がもつ人生の夢をテーマに悲喜交々(こもごも)の舞台劇にすれば、ロンドン(ウエストエンド)とニューヨーク(ブロードウェイ)できっとヒットするでしょう。
「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」の前の映画が、2011年「ペイド・バック」(原題: The Debt ウソ)です。
「ペイド・バック」でマッデン監督は、映画のタテ糸をサスペンス、ヨコ糸をイスラエル諜報機関モサドのスパイ3人a0212807_23391094.jpg(女1と男2)による見事な心理劇として構成しました。
1965年東ベルリン、元ナチス軍医でユダヤ人収容所の虐殺者を拉致しイスラエルへ連行する使命のモサド工作員3人の若者と拉致工作アジトでの密室劇、それから32年が過ぎ1997年のテルアビブで3人は、1965年東ベルリンのミッションで何があったのか‥3人のウソに隠された人生を巡るシリアスな心理劇です。
a0212807_2352052.jpg1965年の東ベルリンと1997年のテリアビブ、この32年の時空をマッデン監督は‘カットバック’を多用する演出で主人公3人の心理に迫りました。
1965年のジェシカ・チャステイン(1977~ 2013年「ゼロ・ダーク・サーティ」主演 こちら」)、サム・ワーシントン(1976~)、マートン・チョーカシュ(1966~)、1997年のヘレン・ミレン(1945~)、キーラン・ハインズ(1953~)、トム・ウィルキンソン(1948~)の名優による一級のサスペンス心理劇映画です。
a0212807_2347468.png2009年「キルショット」は、「ペイド・バック」の前作で、キルショット(射殺)そのままにマッデン監督は、主演の‘殺し屋’ミッキー・ローク(1952~)を冷酷非道で血も涙もない‘殺し屋’にしました。
物も言わずニコリともしないでクールにパンパンと射殺していきます。
その反対が行きがかり上仕方なく相棒にしたものの後先考えずに人殺しをする無駄口叩きのチンピラにジョゼフ・ゴードン=レヴィット(1981~ チンピラ役はブラッド・ピットより上手い)に不動産屋社員のダイアン・レイン(1965~)は、偶然夫とともに殺し屋の顔を見たばかりに執拗に追われます。
ついに居場所を突き止められた彼女を脅迫し夫の帰りを待ちます。
彼女に食事を作らせ黙って食べていた殺し屋も、目の前でペラペラしゃべるチンピラに堪忍袋の緒が切れて‥a0212807_049771.jpg食事しながら顔の表情ひとつ変えずズドンとチンピラを射殺しました。
少し太った初老のミッキー・ローク演じるクールな‘殺し屋’が実にすばらしく、彼の冷酷非道な殺し屋ぶりをぞくぞくしながら見るための映画です。
映画のプロットといい演出のキレといいジョン・マッデン監督のセンス溢れる映画「ペイド・バック」(毛色の違ったa0212807_1174746.jpgスパイものとしておもしろい映画)と「キルショット」ですが、日本では劇場公開されずビデオスルーされました。
くだらない映画は、ごまんと公開するのに、なぜこんなおもしろい映画を劇場公開しないのか、日本の映画配給会社(と映画館)の低レベルに溜め息がでます。
by blues_rock | 2013-09-15 23:00 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)