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心の時空

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a day in my life

1900年  シネマの世界<第215話>

a0212807_1123966.jpgイタリア映画「1900年」は、名匠ベルナルド・ベルトルッチ監督(1841~)が、1976年に発表したイタリア現代史(1900年初頭から1945年第二次世界大戦終戦まで)を透徹した視点で描いた一大叙事詩です。
37年経った2013年の今見ても‘作品’が、斬新で映画芸術の傑作と私は思います。
映画は、Ⅰ部・Ⅱ部構成で上映時間5時間16分に及ぶ超大作でベルトルッチ監督若干35才の時の作品ですが、私は新鋭ベルトルッチ監督のセンス溢れる斬新なレアリズモ表現に天性の映画才能を感じました。
映画芸術の傑作としてもう一つ「1900年」を際立たせたものに‘映像美’があります。
美しい色彩と生々しいリアルな映像シーンの数々(カットとシークエンス)は、ベルトルッチ監督の相棒である撮影監督ヴィットリオ・ストラーロ(1940~ アカデミー賞撮影賞3度受賞)による‘光の表現’にあると思います。
映画全編に流れる映画音楽の名作曲家エンニオ・モリコーネ(1928~ 「ニュー・シネマ・パラダイス」・「海の上のa0212807_1182726.jpgピアニスト」など多数)の哀歓に満ちた美しいメロディが、ベルトルッチ監督の演出とストラーロ撮影監督の映像に寄り添うように各シーンを彩っています。
映画の物語は、1900年の同じ日に産まれた男二人の人生を通して、イタリア20世紀前半(1945年まで)の現代a0212807_1233740.jpg史をリアルに描いた一大叙事詩映画で、イタリアの北部を横断して流れるポー河流域の農村地帯が舞台です。
異なる社会的階層出身の二人、一人は、地主の一人息子アルフレード(ロバート・デ・ニーロ 1943~)ともう一人a0212807_1241496.jpgは、小作農民の息子オルモ(ジェラール・ドパルデュー 1948~)の二人が、1900年の同日に誕生して以来の‘幼なじみ’として深い絆で結ばれながらも第一次世界大戦後ヨーロッパを震撼させたファシズムとロシア革命に触発された共産主義労働運動の階級闘争に巻き込まれ、地主と小作農民として激しく対立また強い友情で支え合い時代に翻弄されていく二人の生涯を描いています。
大作映画なので共演者も多く、二人の間に入るファム・ファタル(運命の女)アダ(ドミニク・サンダ 1948~)、地主アルフレードに仕える農園管理人でファシストのアッティラ(ドナルド・サザーランド 1935~)、孫アルフレードを溺愛する祖父(バート・ランカスター 1913~1994)、孫オルモを溺愛する小作農民の長老(スターリング・ヘイドン 1916~1986)など名だたる名優が、共演しています。
ベルトルッチ監督のプロットにある小作農民たちが森の中で踊る叙情的なシーンの甘美さ、小作農民たちが家畜を屠殺解体するシーンの生々しいリアルさ、ファシストたちが抵抗する小作農民たちを雨の中で容赦a0212807_1244971.jpgなく虐殺シーンの残虐さ、男女が性器丸出しで性愛するシーンのエロチックさは、文学や絵画では表現できないベルトルッチ映画ならではの映像美学で象徴されているように思います。
芸術の秋にふさわしい映画としてお薦めいたします。
by blues_rock | 2013-09-10 23:58 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)