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心の時空

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マンク(破戒僧)  シネマの世界<第211話>

a0212807_2274070.jpgフランスのドミニク・モル監督(1962~)が、18世紀イギリスの鬼才小説家にして劇作家マシュー・G・ルイス(1775~1818)の発禁小説「マンク」をゴシック・ホラー(スリラーかも?)のようなシナリオに脚色、2011年映画にしました。
主人公である聖者の誉れ高かった修道士(ヴァンサン・カッセル1966~)が、信者であるの美しい娘に一目惚れしたことで禁欲をコントロールできなくなり‘破戒僧’に身を落として行く物語です。
マシュー・G・ルイスの小説「マンク」の内容が、あまりに反宗教的で18世紀の社会規範からも反道徳的であるとして「マンク」は、発表当時から背徳小説の烙印を押され160年間発禁(禁書)になっていました。
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この禁断の背徳小説「マンク」を読んで傑作として絶賛したのが、フランスの貴族にしてアンチモラルの小説家
マルキ・ド・サド侯爵(1740~1814)でした。
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サド侯爵の哲学と美学は、道徳・宗教・法律の制約を一切拒否、自らの精神を解放して肉体的享楽を最大化することでした。
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そのサド侯爵が絶賛するくらいに反道徳的・反宗教的・反社会的な背徳小説ですから、キリスト教各宗派の教会や修道院に支配された暗く陰鬱な中世ヨーロッパにおいてキリスト教の戒律を破る修道僧(マンク)の登場a0212807_22134828.jpgは、絶対看過できない一大事件でした。
そういう背景もあって鬼才小説家マシュー・G・ルイスのファンは、多かったそうです。
モル監督の脚本と演出は、17世紀のスペイン、マドリッド郊外の修道院を舞台に清貧と禁欲生活で人々から聖者と崇められた修道士が、火事の火傷(やけど)で顔を仮面で覆った修道士の行なう黒ミサと妖術により禁欲の自律ができなくなり、a0212807_2215694.jpg情欲・殺人と悪魔に魂を奪われていくさまをエロチックに陰鬱に描いています。
これ以上書くとこれから見る方の楽しみを奪いますので、映画「マンク(破戒僧)」を見てのお愉しみとしましょう。
映画のラストも衝撃的です。
悲鳴ばかりで姦(かしま)しいホラー映画嫌いの私も、このゴシック・ホラーは、モル監督の脚本と演出の巧みさa0212807_22234019.jpgもあって好感もてました。
聖者修道士から破戒僧に堕ちていくマンクを演じるヴァンサン・カッセルのほか、高慢な女子修道院長をジェラルディン・チャップリン(1944~ 他作品出演こちら)、仮面の修道士をデボラ・フランソワ(1987~)、悪魔になった破戒僧からレイプされる聖者修道士の信者であった娘をジョセフィーヌ・ジャピ(1994~ 映画出演時17才 実に美しい)が、好演しています。
(上写真:ヴァンサン・カッセルに演技説明するドミニク・モル監督、右写真:素顔のジョセフィーヌ・ジャピ)
by blues_rock | 2013-09-02 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)