アンコール!! シネマの世界<第198話>
監督は、イギリスの新鋭ポール・アンドリュー・ウィリアムズで老名優二人のキャラクターの良さを最大限発揮させる演出センスの良さに驚きました。
主人公の無口で気難しく頑固な老人アーサーをテレンス・スタンプ、アーサーの妻で末期ガンを患い車イス生活ながら陽気で社交家のマリオンにヴァネッサ・レッドグレーヴという老夫婦の愛の物語です。
テレンス・スタンプが、とにかくすばらしく、一人息子とも疎遠で人間嫌いの偏屈な頑固老人アーサーを名演しています。
妻のマリオンは、夫アーサーとは正反対で何ごとにも積極的で若い音楽教師エリザベス(演じるのはイギリスの若手女優ジェマ・アータートン 1986~)の指導する合唱団「年金ズ」に参加、合唱団の仲間たちと一緒に歌う陽気な時間を人生の何よりの楽しみにしています。
長年連れ添ったマリオンにだけアーサーは、やさしく自分の運転する車で彼女を合唱団「年金ズ」へ送り迎えし、室内には入らず窓の外でタバコを吸いながらマリオンを待っています。
合唱団が、国際合唱コンクールの予選に挑戦することになった矢先、マリオンの病状が、悪化し倒れました。
マリオンは、自分が死んだあと孤独になるアーサーを心配し、何とかアーサーに生甲斐と友だちを見つけて欲しいと願っていました。
そんなある日、合唱団のパーティでマリオンは、不機嫌そうな顔をしているアーサーのためにソロで「トゥルー・カラー」(シンディ・ローパーの歌)を歌います。
マリオン役のヴァネッサ・レッドグレーヴのアカペラは、心に沁み入り、感動で涙が溢れてきます。
人前で歌ったことのないアーサーですが、音楽教師のエリザベスに少しずつ心を開き始めました。