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心の時空

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渇き  シネマの世界<第193話>

映画「渇き」は、私の好きな映画監督の一人である韓国映画の鬼才パク・チャヌク監督が、2009年に撮った異色のスリラー&ホラー映画です。
a0212807_1251231.jpgこの‘ヴァンパイア映画’をパク・チャヌク監督は、一筋縄ではいかない手の込んだプロットにして、韓国の生活に深く入り込んだキリスト教の教条的な倫理観と儒教の抑圧的・閉塞的な家族観を容赦なく破壊し、既成概念への強烈なアンチ・テーゼ映画を作りました。
映画は、信仰(殉教)のため自ら致死確立の高いウィルスに感染し‘ヴァンパイア’となるキリスト教牧師をパク・チャヌク映画の常連ソン・ガンホ(1967~)が怪演、敬虔なクリスチャンで信仰に生き禁欲生活をしていた牧師を誘惑、背徳のファム・ファタル(運命の女)となる幼なじみの妻をキム・オクビン(1987~)、牧師の幼なじみにシン・ハギュン(1974~)ほか演技者揃いで‘パク・チャヌク・ワールド’が、展開します。
何んといっても名優ソン・ガンホ相手に体当たりの演技で熱演する新人女優キム・オクビンの‘美貌と壊れっぷり’が、すばらしく感動しました。
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正直、この映画「渇き」のストーリーを説明するのは、容易ではなく、きちんとストーリーを理解したい方は、映画を見ていただくしかありません。
敬虔な信仰をもつキリスト教の牧師が、夫に忍従を強いられていた幼なじみの妻であるファム・ファタルとセックスに溺れていくシーン、人間の生き血を求めるヴァンパイアとなり、夜な夜な鮮血を求め人間との熾烈な死闘
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(バイオレンス)を繰り広げるシーンなどが、複雑怪奇なシークエンスとなり感動のエンディングになります。
ヴァンパイアとなった神父が、ファム・ファタル(運命の女)と無理心中するエンディングの淫靡(いんび)で美しいヴァンパイア物語は、エロティシズム溢れる哀歌(エレジー)でした。
パク・チャヌク監督の演出は、映画の中に「光と闇」、「エロスとタナトス」、「信仰とマゾヒズム」、「良心の呵責とa0212807_1283212.jpg罪の快楽」を対比させつつパク・チャヌク監督らしい‘ブラック・ユーモア’シーンも交え、鬼才と称されるだけのセンスあるシーンの数々を見せてくれます。
「渇き」は、2009年カンヌ国際映画祭審査員グランプリを受賞しました。
パク・チャヌク映画ファンの私には、おもしろいスリラー&ホラー映画でしたが、赤裸々な性描写や容赦ないバイオレンス、アンチモラルな表現など万人向きの映画ではないので念のため‥嵌まると病みつきになります。
by blues_rock | 2013-07-28 00:22 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)