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復讐者に憐れみを  シネマの世界<第194話>

パク・チャヌク監督は、2000年映画「JSA」で韓国映画界にメジャー・デビュー、映画プロット(構想)のキレと朝鮮半島38度線で同じ民族が敵対する中、韓国と北朝鮮兵士4人の友情をクールに描いた「JSA」は、韓国で空前の大ヒット、新進気鋭の映画監督パク・チャヌクの名を一躍有名にしました。
その2年後の2002年、第2作目の「復讐者に憐れみを」で、パク・チャヌク監督の映画センスは、さらに深化し、2003年「オールド・ボーイ」、2005年「親切なクムジャさん」と続く‘復讐三部作’に結実しました。
とくに2003年発表の「オールド・ボーイ」は、韓国内の各映画賞を受賞、2004年のカンヌ国際映画祭では、審査員特別グランプリを受賞しました。
復讐者に憐れみを  シネマの世界<第194話>_a0212807_2165731.jpgこの時の審査委員長クエンティン・タランティーノは、「オールド・ボーイ」を絶賛し、最高賞‘パルムドール’にこだわったようでしたが、最終的に審査員特別グランプリに決定しました。
「復讐者に憐れみを」、「オールド・ボーイ」いずれも脚本が良く練られ、複雑なプロット(構想)の中で主人公たちによる執拗な暴力の連鎖が重なり合い、出口のないエンディングへ向かうストーリーは、映画を見ていて次第に気が重くなりやり切れなくなります。
映画を見た後に感じる重金属を飲みこんだようなズシリと重い感触は、ラース・フォン・トリアー監督の作品と類似しています。
「復讐者に憐れみを」は、韓国裏社会の臓器密売事件と小児誘拐殺人事件が、事件を通して絡み合い、登場人物すべてが、復讐で殺されてしまうというストーリーです。
2000年映画「JSA」からパク・チャヌク映画の常連となる名優ソン・ガンホ(1967~)、若手俳優シン・ハギュン(1974~)に、新人女優ペ・ドゥナ(1979~)を加えた壮絶なサイコ・サスペンス映画です。
「オールド・ボーイ」もまた‘パク・チャヌクの世界’で、オイディプス神話の近親相姦を主題にしながら映画は、お互い愛する女性のために復讐に命をかける男二人が、主人公です。
復讐者に憐れみを  シネマの世界<第194話>_a0212807_2234144.jpg一人の男は、相思相愛の姉と自分との性的関係を目撃し、そのことを人に教え姉を自殺させた男への復讐のため15年監禁し暴力をふるい続け、15年経ったある日、その男を突然解放します。
解放された男は、15年もの長い間監禁された理由が、分からず、また行方不明の家族を探しているとき、若い娘に出遭い、二人は性的関係を持ちます。
それは、姉を自殺させた男への15年をかけた弟の残酷な復讐の罠でした。
若い娘は、好意をもった男が、幼いころ失踪した実の父親と知る由もありませんでした。
男もまた自分を監禁した男の罠にかかり「娘に教える」と脅迫されるまで、自分の娘とは知りませんでした。
二人の男お互いの壮絶な復讐は、過激な暴力の連鎖となり、流血の地獄と化していきます。
タランティーノ審査委員長は、パク・チャヌク監督の才能溢れるこの映画のプロットを絶賛しました。
名優チェ・ミンシク(1962~「悪魔を見た」こちら)を相手に新人女優カン・ヘジョン(1982~)の体当たりの演技が、見どころです。
「親切なクムジャさん」は、まだ見ていないので見たら感想を書きたいと思います。
パク・チャヌク監督の「復讐3部作」すべてが、ハリウッドでリメイクされるとのことです。
by blues_rock | 2013-07-22 23:40 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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