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心の時空

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a day in my life

ヒストリー・オブ・バイオレンス  シネマの世界<第190話 後編>

アメリカの田舎町で起きたこの事件は、テレビ各局によりトップニュースとして、大々的に取り上げられ、全米へ放送されました。
田舎町のヒーローになった彼の店は、繁盛し妻のエディも手伝うようになり、そんなある日、黒塗りの高級車から下りた怪しげな男三人が、彼の店を訪れました。
a0212807_19353642.jpg左目に大きなキズ痕のある男が、トムに向かい「ジョーイ、元気そうだな。」と親しげに声をかけました。
トムは、「自分は、ジョーイではありません。人違いです。私は、あなたに会ったことはありません。」と答えますが、男たち三人は、執拗に彼と彼の家族に付き纏(まと)います。
彼は、トムなのか、ジョーイなのか、家族を愛する夫であり、やさしい父親の彼に、自分たち家族も知らないもう一人の彼がいることに、妻エディも息子も押え難い不安と不信を持ちました。
主人公トム(ジョーイでもある)をヴィゴ・モーテンセン(1958~)、妻のエディをマリア・ベロ(1967~)、ジョーイをa0212807_19394787.jpg目の敵として付け狙う男にエド・ハリス(1950~)、ジョーイの実兄でフィラデルフィア・マフィアのボスをウィリアム・ハート(1950~)といういずれ劣らぬ名優たちが、クローネンバーグ監督の演出に見事に応えています。
ヴィゴ・モーテンセンは、クローネンバーグ監督作品「危険なメソッド」(2011 こちら)でもフロイト役を好演していました。
ウィリアム・ハートが、アカデミー主演男優賞を受賞した映画「蜘蛛女のキス」(1985~)のモリーナ役もすばらしい演技で、私は未だに忘れられません。               (下写真:モリーナを演じるウィリアム・ハート)
a0212807_19401781.jpg前述しましたが、映画「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のエンディング・シーンは、感動的です。
トムに戻ったジョーイが、家族の待つ家に帰り、家族が、静かに彼を迎えるシーン、幼い娘が、テーブルに父親のためにお皿とフォーク・スプーンを並べ、息子は、パンを差し出し、愛するがゆえに苦しみ抜いた妻のエディが、ゆっくり顔を上げ愛おしそうに夫を見つめ、トムもまた苦しみ、許しを乞うような哀しい目で妻エディを見つめ返すシーンは、本当にすばらしく、何度見ても感動します。
by blues_rock | 2013-07-17 00:44 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)