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心の時空

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ヒストリー・オブ・バイオレンス シネマの世界<第190話 前編>

カナダ出身の異才デヴィッド・クローネンバーグ監督(1943~)のサスペンス・ミステリー映画「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(2005)は、テーマとしてバイオレンスを描いた映画ではありません。
この映画の中で発生するバイオレンスは、登場人物の性格描写に重要な意味をもちます。
主人公が、咄嗟(とっさ)の時に見せる自己防衛の攻撃動作は、一瞬にして凶暴なバイオレンスに変貌し、その殺しの手際の良さに見ている方が、唖然とします。
a0212807_17572493.jpg穏やかで善良な市民である主人公に二重人格性をもたせ、ミステリアスなサスペンス映画としてストーリーは、展開していきます。
いつもながら、このあたりのクローネンバーグ監督の演出は、本当に見事です。
主人公の二重人格も病理な二重人格ではなく、主人公の強い意思をもった過去の否定による強固な意思であることが、次第に明らかになっていき、映画のフィナーレを迎えます。
この映画の最後のシーンが、実にすばらしい!‥映画史に残る見事なエンディングとして記憶に残るでしょう。
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」とは、犯罪の前歴(前科)を意味する言葉です。
クローネンバーグ監督は、どの作品でも登場人物の内面心理を丁寧に表現するため、ワンシーンのカットが長く、カメラを長回して撮影するのが特徴です。
映画は、冒頭から二人組の強盗が、モーテルから出て来てフロントに部屋の鍵を返しに行き、従業員二人をa0212807_1811092.jpg
惨殺、部屋から人形を抱いて出て来た幼い娘も射殺(シーンは、拳銃を取り出し銃口を向けるところまで)するところから始まります。
この冒頭のシーンをカメラは、長回しで二人の男を静かに追い、二人が極めて残忍な犯罪者であることを教えます。
次のシーンは、一転して良識ある善良な市民の主人公トム一家4人家族の穏やかな家庭を映します。
トムは、小さな田舎町で簡易食堂(ダイナー)を営み、弁護士で妻のエディは、彼を理想の夫と愛し、高校生の息子は、やさしく学校で苛められても無抵抗を貫き、幼い娘は甘え盛りです。
そのトムの店に映画冒頭の二人組の男が、閉店間際、強盗目的に入って来ます。
閉店を告げるトムに二人組の一人が、店員の女性にイタズラしようとした瞬間、トムは、瞬時のうちに二人組強盗を殺していました。(続く
by blues_rock | 2013-07-16 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)