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心の時空

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棒 BASTONI  シネマの世界<第183話>

BASTONI(バストオニ)とは、イタリア語で「棒」のこと、転じてイタリアでは、男性性器を指す隠語だとか、アダルトビデオの助監督や鬼才石井隆監督の助監督として映画製作のキャリアを積んだ中村和彦監督の初監督作品「棒 BASTONI」は、AV業界を舞台にした売れっ子AV男優とスターAV女優夫婦のユニークな愛の物語です。
この映画「棒 BASTONI」は、アダルトビデオの類いではないものの、当然AVの現場や撮影風景が、映画のシーンとしてふんだんに登場しますので、この手の映画が、キライな方にはお薦めできません。
売れっ子AV男優とスターAV女優の恋愛さらに職場結婚は、共にアダルトビデオの製作現場を知っているだけに、お互い仕事上の性的関係と分かっていながら相手によっては公私の境がなくなり、嫉妬心から夫婦げんかも絶えず、売れっ子AV男優とスターAV女優夫婦に切ない哀感が漂います。
AV撮影の風景やAV現場のセット、AV小道具など見ていて可笑しく、コメディを見ているようでもありました。
映画の劇中に、撮影現場の横でAV監督が、モニターの映像を見ながらAV女優とAV男優にあれこれ演技指導し、その回りを囲む撮影カメラ・音響マイク・照明などのスタッフに指示を与えるシーンは、とても愉快です。
棒 BASTONI  シネマの世界<第183話>_a0212807_18125852.jpg人気AV女優のマネージャーから彼女の相手する格下AV男優が、下半身の触り方について細かく注意されて頷(うなず)きながら聞いているシーンは、ペーソス漂い哀感がありました。
売れっ子AV男優も次から次のAV撮影の連続に職業病なのか、生理的にキライなタイプの女優に彼の棒が、反応せず、しーんと静まり返える撮影現場に監督が「休憩!」と叫ぶシーンも笑えました。
主人公の売れっ子AV男優に松岡俊介(1972~)、変態ものか代役ばかりのベテランAV男優に田口トモロヲ(1957~)、アダルトビデオ会社のプロデューサー役を奥田瑛二(1950~)が、友情出演し中村監督の劇場映画監督デビューを応援しています。
余談ながら、松岡俊介が、黒木和雄監督(こちらを参考)の遺作「紙屋悦子の青春」(2006)の特攻隊員役で見せた凛とした印象と打って変わって、本当に居そうな売れっ子AV男優ぶりを怪演、そのリアルな演技は、存在感があって見事です。
田口トモロヲは、多くの映画に出演している名優(怪優かも)で、パンクロックバンド‘ばちかぶり’のヴォーカリストでもあります。
田口トモロヲを一躍有名にしたのが、NHK総合テレビのドキュメンタリー番組「プロジェクトX~挑戦者たち」(2000~2005)のナレーションでした。
奥田瑛二は、映画監督としても活躍、三作目の2006年作品「長い散歩」(主演 緒方拳)は、すばらしくモントリオール国際映画祭でグランプリを受賞した秀作映画です。
中村監督は、大変なサッカー狂らしくライベート・ブログ「サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ(こちら)」を開設しており、映画の中に随所に挿入された主人公たちが、サッカーするシーンやサッカーのニュース映像は、映画の展開に変調のリズムが生まれ、ストーリーを面白くする役割を果たしています。
by blues_rock | 2013-06-28 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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