誰も知らない シネマの世界<第178話>
ドキュメンタリー映像作家としての経験や瞬間を切り取る短いコマーシャル映像製作に長けている是枝監督ならではのショット(カット)やシークエンス(カットの連続)は、主人公の子供4人をドキュメンタリーで撮影しているように子供たちの演技が自然です。
「誰も知らない」に出演する4人の子供たちは、是枝監督の方針により「演技を知らない(しない)子供」が、集められました。
是枝監督は、オーディションの中から柳楽優弥(1990~当時14才)を‘目に力がある’と4人兄弟(妹2人)の長男
映画は、東京で起きた実話をもとに是枝監督が、脚本を丁寧に練りあげ、子供たち4人出生届けもなくそれぞれ父親が違いながも12才の長男を頭に弟と妹2人の“生きるための必死の暮らし”をカメラは、彼らの一員である
母(YOU)が、新しい男のもとへ失踪後、過酷な状況の中で幼い弟妹の面倒を見る長男を演じた柳楽優弥は、カンヌ国際映画祭最優秀主演男優賞を史上最年少14才で受賞、日本人俳優としても初めての最優秀主演男優
これも子供を撮らせたら天才の是枝監督とのコラボレーションにより受賞した最優秀主演男優賞でした。
脇を固める共演者も地味ながら名優ぞろいで、中でも賞味期限切れの売れ残り弁当をこっそり裏口で待つ長男
ゴンチチの音楽(サウンドトラック)が、子供たちにやさしく寄り添うように流れ、映画を切なくも凛としたものにしています