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心の時空

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幻の光  シネマの世界<第175話>

a0212807_0184415.jpg「幻の光」は、是枝裕和監督が、初めて長編映画に挑んだ1995年の初監督作品です。
主演は、この映画で女優デビューした元モデルの江角マキコ(1966~)です。
当時29才の江角マキコが、突然理由も分からないまま最愛の夫(浅野忠信)に自殺され、幼い子供を抱え、癒えない悲しみに苦悩しながら生きていく主人公のゆみ子を体当たりで演じています。
是枝監督は、長編映画にデビューするまで、数多くのドキュメンタリー映画を撮っているので、映画「幻の光」の映像にもそのキャリアが生かされていました。
たとえば、尼崎の庶民的な下町を彷徨(さまよ)うゆみ子の姿や奥能登の海岸で荒涼とした日本海を背景に一人佇(たたず)むゆみ子のシルエットを捉えた映像は、ドキュメンタリーで撮ったようでゆみ子の切なく悲しい気持ちが、見る者に伝わります。
共演者もゆみ子の再婚相手に内藤剛志、再婚した夫の父に柄本明など名優たちが、新人女優の江角マキコを支え、さすがと思わせる演技で主人公をしっかりサポートしています。(余談ながら、ゆみ子とのラブシーンで夫役内藤剛志のセリフに笑ってしまいました。)
映画「幻の光」は、ふとした瞬間、誰の心に灯る死を誘う幻の光‥人間の原始的な孤独や消せない寂しさ、人生
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に降りかかる悲しさ、を主題にした映画で、荒涼とした奥能登と日本海を背景にして、1人の女性が、喪失していた生きる心を取り戻し、そして再生していく姿を描いた映像詩的なストーリーです。
最後のシーン(下写真)は、是枝監督の小津安二郎監督へのオマージュ(東京物語の引用)と思います。
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是枝監督が、演出したゆみ子役の江角マキコは、旬の美しさに溢れていました。
江角マキコは、この映画のゆみ子役で、その年の日本国内の主な映画賞の新人賞を受賞しました。
「幻の光」は、ヴェネチア国際映画賞脚本賞(金オゼッラ賞)を受賞しています。
by blues_rock | 2013-06-14 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)