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心の時空

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殯(もがり)の森  シネマの世界<第172話>

河瀬直美監督(1969~)の2007年作品「殯(もがり)の森」は、2007年カンヌ国際映画祭審査員特別大賞「グランプリ」(最優秀賞パルムドールに次ぐ賞)を受賞しました。
a0212807_2343841.jpgタイトルの殯(もがり)とは、「喪(も)上がり」に由来し、死者を本葬するまで仮安置し喪に服する期間、さらに死者を納棺し安置した場所を指さす言葉だとか、河瀬直美監督は、自分の生死観を表現するため故郷奈良県西吉野を映画撮影のロケ地に選び、吉野の深山がもつ自然の神秘性を美しい映像に収めました。
33年前に妻を亡くした認知症の老人と不慮の事故でわが子を死なせた若い女性介護員の二人が、認知症介護施設グループホームで生活するうちに、それぞれ死者への深い喪失感を抱えていることから次第に打ち解け、心を通わせるようになりました。
そして亡き妻の33回忌の日、認知症老人は、介護員を伴って妻を埋葬した吉野山中の「殯(もがり)の森」へ
a0212807_23441979.jpg墓参りに出かけ、やがて老人の死で二人に永遠の別れが来るという、簡単に言えば、そんなストーリーです。
山中の二人の動きをハンディ・カメラが追うので、認知症の老人と介護員のドキュメンタリー映像を見ているような演出効果がありました。
子供を死なせ罪の意識に苦悩する介護員を主演した尾野真千子(1981~)は、西吉野村中学校3年生の時、靴箱の掃除をしているのを偶然、河瀬監督が見て「萌えの朱雀」(1997)の主役に抜擢し女優になったキャリアを持ち、河瀬監督作a0212807_2345329.jpg品二作目となる「殯(もがり)の森」でも好演しています。
一方、亡き妻に囚われた認知症患者の老人を演じた素人俳優のうだしげき(地元書店主、映画初出演)は、河瀬監督のミスキャストと思います。
認知症老人特有のピントの合わないモゴモゴとした話しぶりを素人俳優 うだしげきの滑舌の悪さでしのげる(セリフはほとんど聞き取れない)という河瀬監督の魂胆であったのなら、がっかりです。
a0212807_2346648.jpg演技の素人に、認知症老人のリアルな演技を求めるほうが、ムリなことくらい承知しています。
それでもこの映画「殯(もがり)の森」の認知症老人は、主人公であり重要な役どころなので演技のしっかりした名優(たとえば柄本明)に演じて欲しかったと思います。
2007年カンヌ国際映画祭で審査員特別大賞「グランプリ」受賞は、奈良県吉野の神秘的な映像効果が、最も大きかったのではないかと推察しています。
by blues_rock | 2013-06-09 00:20 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)