ジュ・テーム・モワ、ノン・プリュ (Je t'aime..moi non plus)
フランス語の、それも女性の官能的な声で、ムードあふれるメロデイに合わせ「ジュテーム、ジュテーム」と繰り返し、繰り返し、囁きかけて来るので、つい聴き入っていました。
当時、日本語の上手いフランス人留学生のマキシムという青年と知り合い、彼にこの曲の歌詞の意味を質問すると苦笑しながら、あまり意味はないので気にするなとはぐらかされました。
「ジュ・テーム、モワ・ノン・プリュ(Je t'aime..moi non plus)」が、ヨーロッパでは、歌詞のリアルな性表現をめぐり放送禁止のシャンソンであることを知りませんでした。
若い女(当時20代半ばのジェーン・バーキン)は、「Je t'aime..je t'aime(愛している)」と愛人の中年男(当時40代半ばのセルジュ・ゲンズブール)に情熱的に求愛しているのに、男たるや、のらりくらりと「moi non plus(オレは愛していない)」と言い、男から「moi non plus(オレは愛していない)」と言われた女は、さらに官能におちていくことが、当時の私には、さっぱり理解できませんでした。
Oh oui、je t'aime ! そうよ、愛しているわ
男: Moi non plus. オレは愛してない
女:Oh mon amour.. je t'aime! ああ、私の愛しい人、愛しているわ
私が、マキシム青年に本当なら男は、女に「moi aussi(= me tooオレも愛している)」と答えるだろうに、なぜ男は、女に「moi non plus(オレは愛してない)」と囁き、それに対し、どうして女は、怒らず「Oh oui、je t'aime !(そうよ、愛しているわ)」と喜ぶのか、女と男の愛は、どういう愛なのか、フランス人として、この女と男の関係が、どういう情況なのかを分かりやすく説明して欲しいと頼むと「Je ne sais pas.(私は知らない)」とにべもない返事でした。
後日、官能のシャンソン「ジュ・テーム・モワ、ノン・プリュ (Je t'aime..moi non plus)」(こちら)の意味を知り、その赤裸々な性表現にびっくりしました。
興味のある方は、曲をお聴きいただき、女と男の情況をご想像ください。
余談ながらこのシャンソンは、1967年当時ブリジット・バルドーと愛人関係にあったセルジュ・ゲンズブールが、彼女のために書いた曲で、レコーディング(こちら 上写真:レコーディング中のブリジット・バルドーとセルジュ・ゲンズブール)したもののブリジット・バルドーの夫の逆鱗に触れ発売中止になりました。
セルジュ・ゲンズブールについては、後日伝記映画「ゲンスブールと女たち」(こちら)で少し詳しく書きたいと思います。